MOROHA 下積み10年、心打つラップとギター

夢や挫折、恋愛や失恋など実体験を情熱的にラップするMCのアフロと、アコースティックギター1本で、ベースやドラムを思わせる音まで奏でるUKの2人組「MOROHA」。インディーズ活動10年を経てメジャーデビューを果たした。楽曲がドラマで採用されるなど注目を集める。

ラップ担当のアフロ(写真左)とアコースティックギター担当のUKのユニット。2008年に結成。インディーズで3枚のアルバムと2枚のシングルを発表。18年末に初の「Zepp Tokyo」公演を予定している

地元・長野県で高校の同級生だった2人。共に上京していた2008年にサラリーマン生活から抜け出したかったアフロが、バンド活動に行き詰まっていたUKに声をかけて結成。

学生時代に教科書の隅に自作のポエムをつづっていたアフロ、「X JAPAN」のHideを敬愛し、ギターの腕には自信のあったUKが、「お互いにできることをやろう」とMCとアコースティックギターという独特のスタイルになった。

活動を始めた当初は、「クラブで演奏しても観客にほとんどいてもらえなかったり、悔しい思いをたくさんしてきた」(アフロ)と振り返る。

しかし100本超のライブを毎年のように開催して知名度を徐々に拡大。東出昌大や生田斗真ら同世代の俳優が次々とファンを公言し始め、それがきっかけで「しゃべくり007」(日テレ系)に15年、16年と2度出演して楽曲を披露した。

最近のライブ会場では、彼らのパフォーマンスに引き込まれ、涙を流す観客も珍しくない。「歌詞の内容に加えて、様々な楽器が鳴る騒がしいライブハウスで、ラップとアコギの音だけがバチバチと響き渡る衝撃も大きいと思います」(UK)

6月に発売したメジャーデビューアルバムは、彼らがライブでよく歌う楽曲をセレクトして再レコーディングした一枚。

『MOROHA BEST~十年再録~』 家族や恋人との絆を歌った『恩学』や、必ず売れたいという気持ちを込めた『勝ち負けじゃないと思える所まで俺は勝ちにこだわるよ』など12曲を収録。(ユニバーサル/税別3024円) 

4月期ドラマ「宮本から君へ」(テレ東系)のエンディング曲の「革命」は「ごめんな友よ/俺はもう行くよ/居酒屋だけの意気込みじゃゴミだ/お前も本当は気付いてるんだ/素面(しらふ)じゃ語れぬ夢は惨めだ」と、くすぶる現状をかき鳴らすギターに乗せてラップする彼らの代表曲だ。

「このまま年を取るだけの人生は嫌だと思ったサラリーマン時代を振り返り歌っています。歌詞に出てくる『友』は、変化を恐れるもう一人の自分のことです」(アフロ)

アフロの恋人との物語を赤裸々につづった歌詞に、胸を締めつける切ないギターが響く楽曲も彼らの真骨頂だ。

UKは、「彼女との幸せな日々からその愛がぶっ壊れるところまで、自分の感情の全てを包み隠さず赤裸々に歌うからこそ、アフロの言葉には体重が乗っている」と言う。

メジャーデビューを機に活躍の場が広がっていきそうだが、気負いはみじんも感じられない。「心の底から好きだと言ってくれる2万人を集めるライブを、メジャーの場で実現するつもりです」(アフロ)

(「日経エンタテインメント」7月号の記事を再構成 文/中桐基善 写真/藤本和史)

[日経MJ2018年7月27日付]

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