ジョッキーはロボット! 中東ラクダレースの秘密

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/8/3
ナショナルジオグラフィック日本版

砂漠での生活で、昔から重要な役割を担ってきたのがラクダだ。交通手段、食物、祭事だけではない。ときには娯楽の対象にもなる。その象徴がラクダレースだろう。ラクダレースは古くから続くアラブの伝統的な競技だ。

 レースコースを疾走するのはヒトコブラクダで、最高時速はおよそ60キロ。レースはテレビ中継されるが、賭けは禁止されている。

 ラクダを所有するには費用がかかることから、レースの現場に参加できるのは、族長や調教師、ラクダのオーナーなどに限られている。騎手は人間だけでなく、ロボットも認められている。映像からわかるように、車に乗ってラクダに並走しているのは、リモコンで騎手ロボットを操作してラクダを追いたてるためだ。

 今では、ラクダのオーナーのほとんどは、軽量なロボット騎手をレースで使う。絹でロボットを覆って人に似せるオーナーもいる。

 ロボット騎手が普及したのは最近のことだ。それまでは、体重が軽くレースに有利な子供を騎手にすることも珍しくなかった。しかし、こうした事実が明らかになり、騎手の年齢制限が法的に制定された。これがロボット騎手が増えるきっかけにもなった。

 過去には、数万人もの子供が奴隷的かつ強制的に、この危険なスポーツの騎手にさせられたとみられている。パキスタンやバングラデシュ、スーダンから中東へと連れてこられてきた子供もいた。

 21世紀に入ると、アラブ首長国連邦(UAE)が国際社会からの圧力を受けて、子供騎手の禁止へ動く。映像のレースが開催されたオマーンでも2005年、騎手に子供を起用することが禁止された。だが2010年には、子供の騎手がまだいることが明るみに出て社会問題になった。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年5月16日付記事を再構成]

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