
今回は、世界各地に存在する自然が生み出す驚異を写真で紹介する。ほとんどが危険な場所で、おどろおどろしい名もついた場所もある。しかし、同じ地球上とは思えない美しさもあわせもつ。自身の目でこうした地域を見てきた探検家のジョージ・コロウニス氏に案内してもらおう。
息苦しい結晶洞窟
最初に紹介するのは、トルクメニスタンの「地獄の門」だ。砂漠の真ん中に開いた大穴で、炎が噴き出している。この大穴の起源は定かではない。有力な説は、1971年に旧ソ連の地質学者が石油など天然資源の掘削調査をした際、地盤が崩落。漏れた天然ガスに引火したというもの。それ以来、この大穴は燃え続けている。
ナショナル ジオグラフィック協会も支援した2013年の調査で、コロウニス氏は銀色の難燃性スーツを着用して、この穴に飛び込んだ。コロウニス氏に続いた者はまだいない。その当人でさえ、この「地獄の門」を恐ろしい場所の筆頭に挙げているのだ。

メキシコにある「結晶洞窟」も、訪れる人がほとんどいない場所だろう。世界最大級の結晶があることで知られるが、洞窟の真下にマグマだまりがあり、見た目とは違って観光客が行けるような場所ではない。
「入った瞬間から、死へのカウントダウンが始まる」とコロウニス氏は説明する。「洞窟内の気温は50度。湿度はほぼ100%です」。コロウニス氏は2年をかけて、洞窟に1日入る許可を得た。現在、洞窟は地下水で満たされており、巨大結晶を見ることは当分できない。
流れる青い炎、真っ赤な湖

インドネシアのイジェン山も美しいが危険な場所だ。山の頂にターコイズ色の湖があり、夜にはエレクトリックブルーの炎が斜面を駆け下りる。幻想的な美しさとは裏腹に、湖水は腐食性が強い酸性で、青い炎の正体は硫黄ガスの火だ。