頼んだ仕事、いつ終わる? 雑なwillで相手が不快に
デイビッド・セイン「間違えやすい英語」(29)finish
言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、finishの使い方。「頼んだ仕事、いつ終わる?」――雑な言い回しで相手の気分を害してしまうことがあります。
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勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。
仕事を頼むときには最初から「~までにやってください」と頼むべきか、それとも相手の都合を考えて「いつまでに終わりますか?」と尋ねるべきか、おおいに迷うところです。本当は「今すぐお願いします」と言いたいところでしたが、やはりそこは強引に行くことに躊躇(ちゅうちょ)するヒロシ。自分なりに気遣ったつもりが、またもやナンシーの気分を害してしまいます。いったい何が悪かったのでしょうか……。
それはこんな会話でした。
Nancy: Okay, sure.
Hiroshi: When will you finish?
Nancy: When I can! I'm doing you a favor, so don't pressure me!
Hiroshi: Um...but...ah...
ヒロシは期せずしてこのように言ったことになります。
ナンシー:ええ、いいわよ。
ヒロシ:いつ終わると約束してくれますか?
ナンシー:できる時よ! こちらもお願いしていいかしら、私にプレッシャーをかけないでよ!
ヒロシ:あ、でも、その…
When will you finish? は直訳すれば「いつ終わらせてもらえますか?」の意味。すなわち、この言い方には、「何日の何時に終わらせるつもり?」のように明確な答えを言わせようとする、ストレートで、きついニュアンスがあります。頼まれた人は普通であれば、自分が現在抱えている仕事のスケジュールを頭の中で反すうし、いつなら終わらせられるか頭の中で算段しているはずです。そこにこのような言い方をされれば、ナンシーのように「プレッシャー、かけないでよ」と言いたくなるのも仕方ないでしょう。
では、どう言えばよかったのでしょうか?