「しっかり勤めてくれさえしたらちゃんと報いてあげたい、と思っていたんですが……」

「たしかに、今の40代以上の方々にそうして報いておられますよね。でもそれを見て若者たちが離れていっているわけです」

「いつかは自分たちも年を取るとか思わないんでしょうか」

「『今』お金がないんです。若い人たちは。そして10年後に報いてあげる、と言われても、目の前に示される転職先の年収が10年後の金額に匹敵していたら、転職しない理由はないでしょう? 転職した先で10年頑張れば、さらに高い給与をもらえる可能性が高い、と思うのが人の常でしょう。転職を選ぶ彼らが正しい、ということを理解しなければ、何も変わりませんよ」

そう伝えると社長は本当に黙りこんでしまいました。

自社の経営者の「常識」で出世の可能性を見極める

「嫁さんと子どもを食わせていく」というかつての常識に違和感を持つか否か。これが現代の人事課題の多くを解決する最初のポイントです。そして多くの経営者たちが高齢である以上、この違和感を社内のあたりまえにすることはとても難しいのです。

もしあなたが今20代で、今いる会社でキャリアを伸ばすか転職するかを迷われているのなら、社内の常識を確認してみるべきです。それはたとえば人事制度が後払いの仕組みになっているかどうかでわかります。端的に言えば、年をとらないと出世できないとか、年齢によって増える給与があるとか。

逆に年齢を問わずプロジェクトを任されたり、役職についてちゃんと給与も増えていたりするのなら、それは後払いではない仕組みの可能性が高いでしょう。

私たちが成功するためには、どんな人たちの集団で過ごすかがとても重要です。そのことを見極めるためにも、あらためて社内の人事の仕組みを確認してみましょう。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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