食欲ダウンの夏に効く 手軽な「ブロススープ」朝食
肉や野菜をじっくり煮出し、エキスが溶け込んだだし汁「ブロススープ」が人気を集めています。もともとニューヨークで美容や健康に意識の高い人たちの間で流行し、日本にも人気が飛び火。自分で作るのは時間がかかり大変でしたが、最近ではすぐに飲める市販品も増えてきました。スープは手軽に栄養が摂取でき、食欲が落ちやすい夏の朝食にもおすすめ。今回はレトルトパック、冷凍、フリーズドライと使い勝手の違う3商品をご紹介します。
カルシウムやマグネシウムなどミネラルを手軽に摂取
暑い夏はなんとなくスッキリせず朝食を抜いてしまう人もいるかもしれませんが、管理栄養士の藤橋ひとみさんは、「毎日朝食を取るような規則正しい食生活を送ることは、肥満・生活習慣病予防のために大切です」といいます。とはいえ、暑い夏は食欲が落ちがち。また、朝食の準備もおっくうに。その点、ブロススープなら食欲を刺激し、用意もラクにできます。
ブロススープは、大きく野菜からだしを取る「ベジタブルブロス(ベジブロス)」と肉の骨をメインに使った「ボーンブロス」に分けられます。商品によって含まれる栄養素に差はありますが、どちらもカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが含まれています。
「よく知られていますが、カルシウムは主に歯や骨の形成に関わる栄養素。十分なカルシウムの摂取は骨量の維持に必要なので、不足すると骨粗しょう症を招くことがあります。同じく、マグネシウムも骨や歯の成分として重要。加えて、体内の300種類以上もの酵素の働きを助けます。欠乏すると骨粗しょう症・うつ・高血圧・糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めるのではないかと考えられており、研究が進められています」(藤橋さん)
そのほか、ベジタブルブロスに含まれる野菜由来のポリフェノールには、体内に過剰になると動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下を引き起こすといわれている活性酸素を取り除く抗酸化の働きがあるそうです。
こうした栄養素を手軽に取れる市販のブロススープを紹介します。
女性に高評価!レトルトタイプのベジタブルブロススープ
今年3月、「FOODEX 美食女子」Award2018(日本能率協会主催)でミール部門金賞に輝いたのが、ストロングハートの「ベジブロスと椎茸のクリームスープ」。「FOODEX美食女子」は、女性たちが買いたい、食べたいと思う食品・飲料を選ぶ食の一大イベントです。
国産野菜のベジブロス(ベジタブルブロス)に大分県産のどんこシイタケを加え、クリーム状に仕上げた同商品。レトルトパックなので、電子レンジまたは湯煎で温めるだけでOKです。飲んで驚くのは、まるでポルチーニ茸(イタリアの高級きのこ)のようなシイタケの濃厚な味と香り。深みのある味わいながら、さらりとしたのど越しでとても飲みやすいです。
「食べたときにシンプルにおいしいと思えるスープを目指しました。ポリフェノールをはじめとする多種のファイトケミカル(野菜などに含まれる機能性成分)が豊富といわれる野菜の皮や芯の部分を意識して、だしを抽出しました」と語るのは食品輸入販売を手がけるストロングハート(東京・港)代表の鈴木一也さん。
レトルトパックなので忙しい人や料理が苦手な人でも使いやすく、ギフトとしても好評だとか。そのまま飲んでもおいしいですが、パスタやリゾット用のソースなどのアレンジにもおすすめとのこと。200gと多めの量なので、家族とのシェアも可能。商品はオンラインショップなどで購入できます。
安全安心にこだわる冷凍ボーンブロス
東京・麻布十番にある牧草牛専門精肉店「Saito Farm」では、今年1月から冷凍の「ボーンブロス」の発売を始めました。国産子牛の牛骨を主原料に、香味野菜なども加え、2日間煮出し、余計な脂を取り除いたものです。
食べるときは鍋にそのまま入れて、沸騰しないようにじっくり温めます。まるでしょうゆスープのような茶色ですが、これは最初に高温でグリルしてからじっくり煮出した自然なスープの色。塩気はとても少なく(0.4g/100ml)、さらりとした口当たりで、上品なうま味が後を引きます。
Saito Farmを手がける医師の斎藤糧三さんは、本場ニューヨークに視察にも行き、商品を開発したとのこと。安全性にこだわり、子牛肉の品質に定評のある「小島商店」協力のもと、個体識別可能な国産子牛の骨を使用し、スープの有害重金属の検査をして安全性を確認したそうです。
同商品はミネラルのほかに、タンパク質が豊富なのも特徴で、「1パック(300ml)で28.5gのタンパク質を含み、これは150gの牛肉を食べたのと同じタンパク質量。成人女性1日のタンパク質摂取目標量(50g)の半分以上を取ることができます」とSaito Farmの斎藤さん。
クセがないので、薬味を加えるなどアレンジしやすいのもポイント。具体的には「バルサミコ酢少々としょうゆ少々」「すりおろししょうがとしょうゆ少々」「ごまと、白髪ねぎまたは万能ねぎまたはパクチー」などがおすすめの組み合わせ。またラーメンやカレーのスープなど料理に使うアレンジも楽しめるそうです。
麻布十番の店舗やオンラインショップで購入可能。店舗では、冷凍品のほかにそのまま飲めるコップに入ったテークアウト(200ml 1000円)も販売しています。夜にはコースメニューのひとつとして「牧草牛のひつまぶし風ボーンブロスがけ」も提供しています。
お湯を注ぐだけ! 簡単フリーズドライのブロススープ
最後はI-ne(大阪市)が販売するNatural Healthy Standard.のブロススープ。お湯を注ぐだけで簡単に飲めるフリーズドライタイプで、「ボーン」と「ベジタブル」の2種類の味があります。
「ベジタブル」は、5種類の野菜(玉ねぎ・ニンジン・ジャガイモ・セロリ・しょうが)を使用。野菜の甘みをしっかり感じられ、ほっと落ちつく味です。一方「ボーン」は、ニュージーランド産の子牛肉・骨と野菜をじっくり煮込んだフォンドボーが使われており、やさしいうま味を感じます。
「ベジタブルにはミネラルとポリフェノール、ボーンにはミネラルとコラーゲンが含まれます。手軽な朝食はもちろん、クーラーで冷えたときや小腹がすいたときにもぴったりです」とI-ne広報課の古木技奈さん。
商品はナチュラルローソンやオンラインショップで16年から販売中。昨年からニュースで取り上げられることが増えたとのこと。手軽なフリーズドライなのでオフィスに常備しておいてもよさそうです。
暑い夏を元気に乗り切るには、規則正しい生活や食事が大切。この夏は手軽なブロススープを積極的に活用してみませんか。
※価格は特記がない限り税抜きです。
(取材・文 GreenCreate)
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