皆さんも、ランチ後に時間が取れるようであれば、10~15分ほど昼寝をしたり、先程の“伸び”を行って十分に心身を緩ませた後に、数分でも目をつぶってリラックスしたりしてはどうでしょうか。リフレッシュできて、午後からの仕事に集中力を欠くことなく、取り組めるように思います。

自分で生み出した「ハンマロビクス」

運動の面でいえば、軽いジョギングや自重を用いたスクワットなど、軽めの運動を習慣化し、リフレッシュすることは大切だと思います。デスクワークが続くのであれば1時間に1度は立ち上がって歩いたり、体を伸ばしたりして、血流を良くすることが大事でしょう。

私自身の運動の話をすると、現役時代の終盤は、ケガせず自分の肉体や年齢の限界を超えていくことを意識していました。そのために重要視していたのは、いわゆる筋トレメニューによくある、バーベルの上げ下げや、スクワットの繰り返しといった「同じ動きを繰り返す反復トレーニング」ではなく、「広い範囲の感覚を働かせるトレーニング」でした。

2012年のロンドン五輪の男子ハンマー投げで3位になった室伏さん。こうした結果を残せたのも独自のトレーニングがあってこそ?(共同)

例えば、スクワットのような姿勢を保持したまま、バーベルの両端にワイヤー付きのハンマーをぶら下げたものを持ち、左右のハンマーをリズムよく揺らします。これは、物体(ハンマー)の動きの変化を感知し適応しながら物体を動かすことと、それによって姿勢を崩すことなく体を制御してコントロールすること、という2つのことを同時に行う、より高度なトレーニング方法です。

重りが振り子運動で揺れるときに生じる“不規則な動き”に適応しようとするとき、人間はあらゆる感覚器や神経回路を使おうとします。ただ単にバーベルの重さに重点を置いたり、反復回数によって追い込んだりするトレーニングとは違い、このようなトレーニングではその瞬間瞬間の状況を、即興で判断しなければならない環境下に置かれます。そのため潜在的な力を引き出し、あらゆる感覚を鍛え、集中力を高めることもできるのではないかと、研究を重ねています。

私はこうしたトレーニングを「ハンマロビクス」と名付けました。誰も取り組んでいない方法を自ら編み出して実行することから、飽きることなく、ワクワクしながら能動的に取り組むことができました。自身に合うトレーニング方法を編み出す楽しさは、長く競技を続けるための力となりました。

次回は、私が考案した「ハンマロビクス」を、皆さんが身近な環境で行えるようにアレンジしたエクササイズを、いくつかご紹介したいと思います。

(次回に続く)

(ライター 高島三幸、カメラマン 鈴木愛子)

室伏広治さん
 元男子ハンマー投げ選手。1974年生まれ。現役中の2008年に中京大学大学院修了後、博士号(体育学)取得。中京大学准教授を経て、2014年東京医科歯科大学教授。2001年世界陸上エドモントン大会で銀メダル、2004年アテネ五輪で金メダル、2011年世界陸上テグ大会で金メダル、ロンドン五輪では銅メダルを獲得。4大会連続で五輪に出場。日本陸上競技選手権大会20連覇。自己最高記録は2003年6月プラハ国際で記録した84m86(アジア記録、世界歴代4位)。著書に『ゾーンの入り方』(集英社新書)など。

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