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おにぎりが引き立つ塩10選 外国産も上位で健闘

NIKKEIプラス1

2018/6/24

肉、魚、野菜など各種の素材の味を引き出す塩を探すのは意外に難しい。
今回はシンプルで塩本来の特徴を比べやすい「おにぎり」で専門家が評価した。
食材との相性が良い組み合わせを探す楽しさを知れば、日々の食卓も彩りを増すはずだ。

■国内に4000種類 こだわり競う

日本では4000種類もの塩が流通しているとされる。海外では掘り出すだけの岩塩や湖塩が採れる地域もあるが、国内で作る塩は海水がほぼ唯一の原料。清浄な海水が必要となるため、製塩会社は遠隔地や離島などにあることが多い。海水を効率的に濃縮するため、竹の枝を使った立体塩田や藻などを使う技術も日本独自に発展したという。

今回上位に入ったのも、市街地から遠く離れた立地の小規模製塩所が多い。それぞれ異なる地域でこだわりのある味を競い合っているからか、専門家の評価も分かれた。例えば、「伊達の旨塩」と「あまみ」を1位に推した選者はともに3人だったが、10位以内に入れた人数の差で順位に違いが出た。

半面、日本の米には日本の塩がやはり合う、とも言い切れないようで、キリバスの「クリスマス島の塩」とボリビアの「ウユニの塩」が上位に入った。自ら選んだ塩が外国産と知って意外感を示す専門家もいたほどだ。しょっぱさ、甘味、渋味、うま味を併せ持ち、ミネラル成分もそれぞれ異なる塩の味は、それほど複雑で微妙なものと言えるのかもしれない。

1位 伊達の旨塩(うまじお) 690ポイント
まろやかなのに確かな食感(宮城県石巻市)

牡鹿半島の付け根、カキ養殖が盛んな万石浦(まんごくうら)で作る。同地域は黒潮と親潮がぶつかる好漁場や北上川の河口に近く、海水は海と山の栄養を豊富に含む。江戸時代は伊達藩の塩田があった。その海水を2種類の釜で2日かけて煮詰めて製塩する。「塩のうま味の強さが米のうま味と甘味を引き上げ、後からきちんとしょっぱさを感じる理想の味」(田中園子さん)、「しょっぱさに角がなくちょうど良い。米のうま味や甘味も感じられ、甘味が最後まで残る」(新田遙さん)。

2段階の煮沸工程を経てマグネシウム(にがり)成分を適度に残し、まろやかで口当たりの良い粗塩に仕上げる。「じょりじょりとした食感が心地よく、米のうま味や甘味を引き出し、塩むすびにも適している」(川上文代さん)、「粒感しっかりでジャリっとした食感と思いきや、口溶けがとても良い。塩味がじっくりと続き、最後まで米と絡み合う」(関克紀さん)。

ただ、家族3人が自宅脇の作業場で取水から袋詰めまでをこなすため、生産量は1日50キログラム程度と少ない。「今もぎりぎりで注文に応じている状況」(製造元の山田憲寿氏)で、取り寄せには時間がかかることも。地元の笹(ささ)かまぼこ大手、鐘崎(仙台市)の商品にも採用されている。

(1)山田了作(2)400グラム572円(3)http://www.miyagibussan.or.jp/shop/(宮城県物産振興協会、海産品ページへ)

2位 百姓の塩 550ポイント
春夏秋冬で変わる味(山口県長門市)

山口県の日本海側の豊かな森に囲まれた油谷(ゆや)湾の海水で作る。立体式塩田と平釜で約20日かけて海水を濃縮、結晶化。よく混ぜてミネラル成分を整え、杉だるで3日間寝かせて仕上げる。「全体的に米の味が底上げされて濃厚になる。冷めてもおいしいおにぎり」(青山志穂さん)、「塩味にとげとげしさがなく、それでいて芯がある。かみしめるほどに米の甘味を感じさせる」(森脇慶子さん)。

「うま味が増す」(井澤由美子さん)、「まずパッといろんな味がして、次に甘味と酸味がくる。米の味や香りを引き立てる役目をしてくれる」(奥田政行さん)。

油谷湾には川が2本流れ込み、海と森の栄養分が混ざり合う汽水域。同じ海水を使っているようでも四季により異なる味の塩ができるため、春夏秋冬ごとに商品を出している。森のミネラルを豊富に含む夏塩を6月末に発売予定。

(1)百姓庵(2)100グラム1188円(3)http://hyakusho-an.com/

3位 クリスマス島の塩 540ポイント
3カ月かけて結晶化(キリバス)

ハワイの南方約2000キロにあるキリバス共和国のサンゴ礁に囲まれた島で作る。世界で最も汚染の少ないといわれる海水を塩田に引き込み、赤道直下の強い日差しと海風だけで3カ月かけて自然に結晶化させる。

「一瞬強い刺激が来るが、すぐにまろやかさが広がる。うま味もあり、米と合う」(森脇さん)、「バランスが取れており、米のうま味、甘味を引き出す」(志村幸一郎さん)、「米の甘味がぐんと強く感じられる。あと味にうま味が来て、ふくよかな印象を受ける。食感が少しむちむちした感じになる」(青山さん)。

食材にすっと溶けて味が入りやすいのも特徴という。「塩自体のうま味が非常に濃い」(田中さん)。かつお節メーカー、にんべんの「薫る味だし」シリーズなどにも採用されている。

(1)クリスマス・アイランド21(2)100グラム540円(3)http://www.christmas-island.co.jp/

4位 ウユニの塩 480ポイント
さらりと甘いあと味(ボリビア)

アンデス山脈に囲まれた標高約3700メートルの高地にあるウユニ塩湖は、約180万年前に海底が隆起してできた塩だけの湖。その塩をそのまま砕き袋詰めした。「味の余韻の長さ、強さ、バランス、おにぎりの相性を考えると抜群に良い」(濱口昌大さん)、「甘味とうま味が全体的に底上げされ、ほどよいしょっぱさとともにバランス良く最後まで続く。あと味もさらりとした甘味で心地よい」(青山さん)、「塩味、食感ともおにぎりに合う」(川上さん)。結晶は珍しいピラミッド型をしている。

(1)薬糧開発(2)360グラム500円(3)https://biocle.jp/

5位 浜御塩(はまみしお) 460ポイント
荒々しさが残る粒(長崎県対馬市)

天然の海藻が生い茂る長崎県対馬の海水をくみ上げ、逆浸透膜で濃縮。塩職人が平釜で一昼夜煮詰めて結晶化させる。「粒に荒々しさが残り、激しい海流でもまれた印象。塩味が最後まで残り、米の良さを力強く引っ張ってくれる」(関さん)、「甘味と酸味が徐々に消えていく感じがばっちりで、米と違和感なく同化する味わい」(奥田さん)、「米のバランスを邪魔しない」(片山真一さん)。環境保全のため、地元の間伐材から作ったチップをボイラーの燃料に使っている。

(1)白松(2)400グラム540円(3)http://www.hakumatsu.co.jp/

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