「『子育てで大変だから、どうせ断られるよな』といった決めつけが最悪です。保育所や家族の協力状況、地域の保育サービスの充実度など子育て環境は一人ひとり様々です。復帰間もない社員に『無理です』と断られた仕事でも、別の育児中の社員が『できます』と引き受ける可能性はあります。子育て環境や子どもの健康状態も日々変わりますので、同じ社員でも、かつては断った仕事を今回は引き受けるかもしれません。もちろん無理強いはハラスメントなので絶対にいけませんが、1度か2度、断られたからと引き下がる必要はありません」

「子育て中の女性も、そう頑(かたく)なでもありません。両立の経験がないと、やりとげる自信を持てないので仕事の依頼にも慎重になりますが、『やってみなよ』『できるはずだよ』とやさしく背中を押してあげれば意外と挑戦してくれるものです。実際に仕事を無事こなせたら、その成功体験が自信になって、次の仕事は引き受けやすくなるでしょう」

――だけど子育て中は家庭責任が重くて大変ですよね。本人の努力だけで克服できるのでしょうか。

「社会や会社も変わらなくてはいけません。まずは家庭の男性です。女性が働くためには、誰かが家事・育児をやらなくてはいけません。男性が家事・育児にもっとかかわれば問題は簡単に解決します。ただ、そのためには残業を前提にした雇用環境をまずは見直すべきでしょう」

「会社は子育て中でも成長につながる仕事の与え方を考えるべきでしょう。ある鉄道会社の工夫です。ローテーション勤務をする運転士や車掌が短時間勤務をしたいと思っても、短時間だけ入れるシフトがなく、働きづらい状況があったそうです。そこで会社側が工夫し、短時間勤務の運転士や車掌でも勤められるダイヤをわざわざ新設したそうです。長らく続いてきたやり方を見直してまでも、短時間勤務の運転士や車掌が働ける環境をつくりました。このくらいの覚悟が今後は各企業に求められるでしょう」

(編集委員 石塚由紀夫)

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