日経エンタテインメント!

『未来のミライ』7月20日公開、東宝配給(C)2018 スタジオ地図

「主人公を4歳の男の子にしたのは、映画史的にもこれまでにあまりない大きなチャレンジだと思ったからです。そもそもこの年齢の子どもたちは、社会常識が邪魔しないから、人間のプリミティブな本質に近い存在。映画の中では、生まれたての赤ちゃんだったミライちゃんが成長した姿になってやってきますが、そんな不思議なことも4歳児の世界だったら素直に受け入れられるじゃないですか。

実はうちの子が、『夢で大きな妹に会ったよ』と言う話をしたんです。大きな妹って何かと思ってよく聞いてみたら、成長した妹だって言うんです。『お! これはなかなかいいことを言うじゃないか!』と(笑)。これが10歳児だと、大人と同じような常識があるから『なぜ? どうしてそういうことが?』みたいになるし、我々大人は、常識を乗り越えるのにたくさんのプロセスが必要。でも、4歳児の世界ならそんなことをすっ飛ばして本質にガッと迫れる。そういうエンタテインメントって、他にはなかなかないと思うんです。

最近になってようやく子育ての意味や面白さが分かってきて。それも一種の追体験みたいなところがあります。子ども時代に同じようなことがあったとか、自分の記憶と照らしあわせながら子どもの成長を追体験しているわけですが、でも1つ、僕たちと彼らには大きな違いがあります。圧倒的に“未来”というものが違うんですよ」

4歳児が主人公だけあって、物語の舞台は家の中がメイン。だが、これまでの細田作品に共通する壮大なイメージの広がりも併せ持つ。

「今の時代は、子どもにとっての両親のあり方1つとっても、僕らの時代とはすごく違っていますよね。抱っこ紐の父親姿も、今は普通に見かけるようになりましたが、少し前はそんなじゃなかった。今まさに音を立てて変わっている最中です。

昔は、ある種のひな型みたいな家族像とか家庭像がありましたが、でも今はあらゆる家族のあり方がありえます。育児分担にしても、父・母のジェンダー的な意味においても、決めつけやこれまでの枠組みには全然収まりきらないわけです。今、家族を描く面白さはそこにあります」