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介護の人手不足が深刻 賃金以外も目配りを

2018/6/5

介護人材をいかに確保するかは将来にわたる課題だ(都内の介護福祉施設)

 高齢化を支える介護人材の不足が深刻さを増しています。仕事を探す人に対する求人数を表す2017年度の有効求人倍率は介護職で3.6倍と全体の1.4倍を上回りました。今後もニーズが増すため、厚生労働省は16年度に190万人の介護人材を25年度までに55万人増やす必要があると見込んでいます。

 介護職が不足する理由としてよく挙げられるのは賃金の低さです。福祉施設の介護員の月給は23万円と全産業平均の約3分の2にとどまります。介護職は公的な保険制度で賃金水準が決まる側面が大きく、賃上げには国民が払う保険料や税金で原資を確保しなければなりません。賃上げ以外に人手不足を緩和する手段はないのでしょうか。

 まずは働く人の声を聞いてみましょう。介護職は年間の離職率が17%と全産業平均の15%を上回っており、人手不足を加速させる要因となっています。そこで日本介護福祉士会が16年11月にアンケート調査で転職者に理由を尋ねました。結果は職場の人間関係(35%)や職場の運営方針(33%)が給与面の不満(30%)を上回ったのです。上智大の栃本一三郎教授は「介護で働く人が賃金以外の要素を大事に考えていることに注目すべきだ」と話しています。

 別のアンケートでは、介護職に対して「専門性が発揮できない」「将来の見通しがない」との声も多く聞かれました。栃本氏は「特別な技能が必要な認知症の人への支援など、専門性を発揮できるよう、継続的な教育の機会を与えていく必要がある」と課題を挙げています。京都府は数年前から、職員の育成に熱心な事業所に対して人材紹介を優先する制度を始めました。結果、離職率は8%と全国平均の半分以下に下がりました。

 政策にも課題があります。国家資格である介護福祉士の受験者数は17年度に9万人と15年度の6割に落ち込んでいます。16年度から受験資格に長時間の研修を課したことが原因です。介護職の地位を上げるというのが受験資格の変更理由ですが、人手不足に逆行する結果となりました。聖路加国際大の池上直己特任教授は「資格要件を厳しくする現在の方針をあらため、研修も国際標準に合わせて効率化すべきだ」と述べています。

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