上杉 8Kとは解像度が横7680×縦4320画素の画質のことです。1000を1Kとして、横の解像度がだいたい8000なので8Kとなります。
小原 4Kは横3840×縦2160なので4K、現在一般的に放送されているフルハイビジョンは横1920×縦1080なので2Kですね。
上杉 画質は縦×横の画素数で表すので、8Kは4Kの4倍、フルハイビジョンの16倍となります。フルハイビジョンと同じ画質で16倍の広さを表現できる、あるいは広さが同じなら16倍の細かさを表現できることになりますね。

小沼 そんなに違うんですね。でも、そもそも高画質になることでどんな効果があるんでしょう?
上杉 実物を本当に目の前で見ているような臨場感と実物感が味わえます。情報量が多いので、物体の奥行きや膨らみを表現する立体感をリアルに描写できるんです。現地に行かなくてもその場にいるかのような、徹底的なリアリズムを追求しているのが8Kですね。そもそもテレビの語源の「tele-vision」は「遠くのものを見る」という意味。8Kでそのレベルに到達すると考えられています。
小沼 でも、しばらくしたら16Kや32Kが登場した、なんてことはないんですか?
上杉 NHK放送技術研究所の、チョウの標本を使った実験があります。実物とディスプレーに映したものを見比べるという実験ですが、2Kではおよそ半分ほどの人が区別できたのに対し、8Kではほとんどの人が実物と見分けられませんでした。つまり人間の目は8Kを現実に限りなく近いものとして認識するため、8Kが最終形だといえるんです。
モナリザのひび割れまで見える
上杉 では、実際に映像を見てみましょう。まずはNHKがルーヴル美術館で撮影した、8Kのモナリザです。
小沼 うわ、すごい! 実際に見たことはないんですが、たしかに実物を見ているのと同じくらいリアルかも。胸元にある細かな刺しゅうや、繊細な髪の毛の描き込みまでしっかり確認できます。教科書やネット上にある画像を見るのとはまったく違って、見れば見るほど新しい発見がありますね!
小原 モナリザのように有名な美術作品は実際に美術館に行ってもすごい人で、遠くからほんの少ししか見られないんですよね。じっくり見られるという点では、実物以上じゃないでしょうか。
小沼 こうして見てみると、経年変化で表面がかなりひび割れているんですね。作品の経てきた歴史の空気まで感じられる気がします。
上杉 美術館に行ってもできない体験が、足を運ばずしてできるというのも8Kの特徴です。ルーヴル美術館のスタッフも「こんな映像は見たことがない」ととても驚いたそうです。