2枚目無料もあり！　宅配ピザ購入の裏ワザ

定価で注文すべからず。今や宅配ピザの「常識」だ。もはや毎日が「ディスカウントセール」と言っても過言ではない。

安く買う常とう手段は、ピザを注文した店舗に取りにいくこと。ドミノ・ピザなら1枚注文で漏れなくもう1枚がタダになる。1年中、全国どの店舗でも実施しており、店まで出向く労さえ惜しまなければ、安いほうのピザがいつでも無料になる。つまり、同じ定価のピザなら1枚当たり半額だ。この「2枚目0円」はドミノ・ピザの専売特許のように思われがちだが、今や最大手のピザーラも「店舗限定」「ピザ限定」ながら同様のキャンペーンを展開。すっかり業界の定番ワザになった。

しかし、これらはあくまでも2枚買った場合である。単身者にとっては量が多過ぎるのが難点だった。そんなニーズをくみ取り、最近増えているのが「1枚目から半額」。ピザハットは特定のピザを持ち帰りにすれば「50%オフ」を打ち出し、ドミノ・ピザは「1枚割」という名で、Mサイズを1枚1000円（税別、以下同）から販売する。「半額でも採算が取れる」（関係者）というから、定価がいかに高いかがわかる。

こうした大々的な割引に加え、ピザ業界には、知る人ぞ知る裏ワザが多数眠る。代表格がドミノ・ピザ。英語サイト限定の「裏メニュー」があるのだ。「ラージ&ラージ」は、Lサイズのプレーンピザ（1700円）2枚に、トッピングが1つずつ無料で選べて宅配価格が2999円。持ち帰りだと1900円となり、1枚当たり950円と超破格になる。とにかくコスパとボリュームを求める外国人向けの「スペシャルオファー」とはいえ、日本人も画面のイラストに従ってトッピングなどを選んでいけば、注文できる。

ピザハットの狙い目は、全国に7カ所あるイートイン専門の「ピザハットエクスプレス」。宅配とは生地や大きさを変えたオリジナルメニューがそろい、直径21cmのマルゲリータが何と380円で食べられるのだ。

サービスの要である宅配でも注目の取り組みが始まった。ドミノ・ピザが2018年1月に導入したのは、その名も「ミッション20ミニッツ」。インターネット注文限定のサービスで、混み合っていなければプラス200円で20分以内の宅配、プラス300円で15分宅配を確約。遅れたらMサイズのピザ1枚が無料になるクーポン券を配信する。

試しに日曜の昼、自宅から1キロ先の店舗に、あえてトッピング多めのLサイズを頼むと、19分で到着。急いだからか、チーズの量にムラがあり、切り方もやや不ぞろいだったが、熱々のピザが20分以内で届くのは画期的だった。注文完了画面には刻一刻と残り時間が減る「カウントダウン」が表示され、間に合うか否か、店側とのギリギリの駆け引きが楽しめた。

これに対し、じっくり焼き上げることに重きを置くのは、ピザハットとピザーラ。宅配までの約束時間はいずれも30～40分と長めに取っており、早さが命のドミノ・ピザとは対照的だ。スピード、安さ、品質のバランスをどう取るか、「3強」のせめぎ合いは続く。

1枚で4つの味が楽しめる「4種盛り」。新味が次々と投入され、実際に各社とも一番人気の王道メニューだ。今回は、期間限定ではなくレギュラーメニューの4種盛りから、ロングセラーで定番の商品を選択。料理家の風間章子氏と実食した。

条件をそろえるため、サイズはM、生地はハンドトスに統一して同時に注文。届いたピザは3社とも表示通りの大きさで、ドミノ・ピザがやや小さいという結果になった。最大はピザハットだったが、定価はやや高く、割引なしだとやや割高に感じた。ドミノ・ピザは大きめの具材が比較的しっかりと載っており、ピザーラのトマトの大きさも目立った。

●サイズは小さめだが、具はしっかり

ドミノ・ピザの「クワトロ・ハッピー」は生地が厚めで「特にアメリカンとの相性が良い」（風間氏）。トロピカルやジェノベーゼをはじめ、全体的に具材はしっかり載っている印象。他社と比べて安価だが、そのぶんサイズが一回り小さいため、面積当たりのコスパは1平方センチ当たり4.33円（税別）とやや高めだった。

●「ベストな4種」をバランスよく

ピザハットの「ピザハット・ベスト4」は完成度が高い4種の味をバランスよく配置。特にマルゲリータは「モッツァレラチーズが絶妙の溶け具合」（風間氏）。サイズはピザーラよりも僅かに大きいが、定価ベースのコスパは1平方センチ当たり4.48円（税別）。キャンペーンを駆使し割引購入を狙ったほうがよい。

●マヨネーズ好きな家族向けの一枚

ピザーラの「バスターズ クォーター」。老舗パン店「浅野屋」と共同開発した生地は、みみまでふっくらしているのが特徴。目を引くのは、大きくカットしたトマトで「フレッシュ感がある」（風間氏）。全体的にマヨネーズが多く使われており、子供でも食べやすい一枚。1平方センチ当たり3.83円（税別）と割安感がある。

（注）コスパ度は定価（税別）を面積（半径×半径×3.14）で割って算出。小数第3位を四捨五入した。実食比較は4月上旬、都内で実施した

［日経トレンディ2018年6月号の記事を再構成］