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長寿企業を変える

まず管理職から在宅勤務 働き方超える「生き方改革」 カゴメ(下)

2018/5/15

――時間有休制度も18年4月から導入していますが、これはどのような狙いがあるのでしょうか。

■国内の全事業所を回って現場と対話

「これは対象が工場部門だけなんです。というのも、工場はシフト勤務中心ですから、在宅勤務や時差勤務の導入が難しい。工場の働きやすさを向上させるためにはどうすればいいかという議論のなかから、時間単位で取れる有給休暇制度を導入してはどうか、となりました。1回あたり2時間単位で休みが取れて、ちょっと子どもを保育園や幼稚園に迎えに行くのにも使えます」

「社長になってからは、経営と現場の距離を縮めることにも取り組んできました。16年度は国内15拠点を訪問しましたし、17、18年度にかけても、丸2年かけて国内の全事業所を回る計画を立てています。工場に行ったら、約1時間半、現場の従業員と膝を交えて対話をします。誰を呼ぶかは工場長が決めますが、人数は10人で、場合によっては契約社員の方も含まれる」

「初めのうちは『年間の総労働時間1800時間なんて無理な目標だと思いますが、社長は本気で達成できると思っているのですか?』と聞かれることもありました。実はもう、ラインによっては目標を達成しているところもあります。対話を通じて出てきた解決策の一つは多能工化。1人の人間が複数の仕事をこなせれば、誰かが休んでも代わりができる。そういう形で今、仕事を代替できる環境を整えているところです」

「工場の残業に関しては、営業の販売計画やSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)の問題も絡んできます。急な増産や生産中止などがあると、現場はそれに振り回されてしまう。今、これをなくすためにSCM改革を進めているところです。過去のデータと照らし合わせるなどして、商品ごとの予測精度を上げていく試みです」

■働き方の改革で「家族と夕食をとれるようになった」

――働き方の改革を進めた結果、社内にどんな変化が起きていますか?

「社員にアンケートを取っていますが、家族と過ごす時間が増えてよかったというのが一番多いです。以前は夜遅く帰宅していたけれど、今は家庭で夕食をとれるようになったとか。ジムに通い始めたり、地域で活動を始めたりという人もいます。人事部が用意したオンライン英会話レッスンを使って、語学の勉強を始めた社員もいますね」

2019年からの副業解禁も視野に入れている寺田社長

「子育てや介護などの都合で、働く時間に制約のある人は、性別に関係なく、今後も増えていくでしょう。その際、自分で時間を適切に管理できるということは、非常に重要な要素になってきます。タイムマネジメントしやすい職場を作ることは女性が活躍しやすい環境を整えることにも通じます。生活や心にゆとりができれば、メンタルの問題なども減っていく。健康経営にもつながる話です」

■社内コミュニケーションだけでは成長できない

――ところで、寺田社長ご自身の働き方はどうだったのでしょうか?

「今、言ったこととは真逆でした。入社3年目で本社に異動した時は業績も悪かったですから、死ぬほど残業しました。3週間休みなしで働いたこともあります。当時は独身でしたし、それはそれでいい経験だったと思っていますが、今は時代が全く違います。働き方を変えていかなくては、時代にふさわしいアイデアも生まれてこない」

「立場上、いろいろな方に会って話をしますが、そこからビジネスのヒントを得ることも多い。社内の人間との対話だけでは、成長できないでしょう。働き方の改革は生き方改革であると繰り返し言っている理由もそこにあります」

(ライター 曲沼美恵)

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