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「開かれたカゴメ」へ サラリーマン社長たちの改革魂 カゴメ(上)

2018/5/8

カゴメの寺田直行社長は2018年に相談役・顧問制度を廃止した

 企業の平均寿命がますます短くなるなか、長命で知られる日本の老舗も変革のときを迎えている。時代の変化に合わせ、自ら変われなければ生き残りは難しい。伝統を踏まえつつ、新たな企業文化の創造にまい進する経営者の取り組みを追う。1回目は1899年の創業から今年で120年目を迎えたカゴメ。「開かれた企業」を掲げ、資本と経営の分離を実践したのが、初のサラリーマン社長となった伊藤正嗣氏。その理念を引き継ぎ、次なる成長をけん引するのが、現社長の寺田直行氏だ。

■2001年に始まった「株主10万人構想」

 3月下旬、名古屋市内で開かれたカゴメの第74回定時株主総会。開始時刻の午前10時までには30分もあるのに、会場となった名古屋国際会議場には、すでに大勢の株主が列をなしている。そろいの白いジャンパーを羽織ったスタッフにまじり、スーツ姿の役員らもフロアに立ち、株主からの質問に答える。7年前から続く、同社ならではの光景だ。

 カゴメが「株主10万人構想」を打ち出したのは2001年のこと。それ以前から、総会の集中日を避けて早期単独開催するなどの取り組みはしていたが、株主との距離は必ずしも近くはなかった。

 「10万人構想を打ち出す前の株主数は約6000人。うち総会に出席するのは120人ぐらいしかいませんでした」と寺田社長は振り返る。「ぜひ質問を」と会場に呼びかけても、寄せられる質問はほとんどゼロだった。

 それがこの約20年間で大きく様変わりした。6000人しかいなかった株主の数は17万人超へと大幅に増加。その99.5%が個人株主で、女性が約半数を占めている。株の平均保有年数は7年で、所有年数が10年を超える株主も半数近くにのぼる。

 株主のほとんどがカゴメ商品の顧客であり、約2500人が株主総会に出席する。アットホームな雰囲気に包まれた総会では、参加した株主たちから親身な提案と質問が相次いでいた。

 小学生の娘2人を連れ、妻と家族4人でやってきた40歳代前半の男性は語る。「春休みなので、子どもたちも連れてきました。株主になったのは10年ほど前。利殖というよりも優待目的です。実は妻も株主で、安くなるたびに買い増ししています」

■創業者は農家の長男

 カゴメの創業は1899年だ。愛知県名和村(現在の東海市)で農家の長男として生まれた蟹江一太郎氏が、日本ではまだ珍しかった西洋野菜のトマト栽培に着手し、最初の発芽をみたこの年を、カゴメは「創業年」と定めている。

 一太郎氏は日本では「青臭い」と嫌われがちだったトマトを加工し、トマトソースやケチャップ、ジュースとして売り出すことに成功。カゴメを日本有数の食品メーカーへと育て上げた。

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