ライフコラム

リーダーが語る 仕事の装い

着こなしは己のブランド構築 経営学は「装い」に通ず 一橋大学大学院教授 一條和生氏

2018/5/13

――海外での経験を踏まえて、日本人の装いに思うところは何かありますか。

「日本人は靴にもっと気を使った方がいいと思います。もちろん、いろんなTPOがありますから、スリッポンでも構いません。ただ、本当にオフィシャルなところならひも靴です。これから戦いに赴くのですから。最悪なのは飛行機で靴下を脱いでしまう人。ビジネスクラスでもいるんですよね。高温多湿という日本の風土から靴を脱いでしまうのは、仕方ないのかもしれません。しかし、あれでは完全に戦線離脱ですよ。だって外に逃げることすらできないのですから」

■ファッションとは、自分らしいスタイルを確立すること

「すぐにも直した方がいいと思うのはズボンの裾です。あまりにもダブダブで、ワンクッション(裾が靴の甲に当たり、ひとたわみできる長さ)どころか、ファイブクッション、シックスクッションくらいあるようなものまで見かけます。ちょっと理解に苦しみますね。もう少し、体のサイズに合わせて裾を変えるだけで、見栄えが全然違うと思いますよ」

紙製かばんで知られる英グローブトロッターの手提げかばん。これは紙ではなく革製

――洋服は西洋のものとはいえ、何が原因なのでしょうか。

「やはりグローバルに触れているかどうかだと思います。日本だけしか知らなければそこに同化してしまうでしょう。世界だとそうした装いではありませんから」

「私の場合は、父の存在がありました。父は洋酒の輸入業を営んでいたので、よく海外へ行っていました。彼自身、欧州のライフスタイルを知っていたし、家にも海外からのお客さんがよく訪れていました。世界に触れる機会が小さいころからありました。そうした影響で、服装についての考え方が身についたのかもしれません」

――ご自身にとってファッションとは何でしょうか。

「自分らしいスタイルを確立することだと思います。結局は自分とは何かを考えることになると思います。どういう生き方をしたいのか。そして自分の生き方にあった格好をすることだと思います。それがその人のブランドビルディングになると思うのです。身につけるものが高価なものである必要はありません。一貫性がブランドビルディング、その人らしさになってくるのだと思います」

■「正真正銘のリーダーシップ」は装いに通ず

「経営学のリーダーシップ論で、『オーセンティックリーダーシップ』という言葉があります。直訳すると『正真正銘のリーダーシップ』という意味ですが、要するにイミテーション(模倣)ではないということです。自分のリーダーシップを伸ばそうと、ある個人のやり方を理想として模倣しても、しっくりきません。だから正真正銘の自分らしい、リーダーシップの発揮の仕方を見つければいいではないか、というのがオーセンティックリーダーシップという考え方です」

「今回のお話ししたことは全部それにつながってくるのだと思います。誰かが持っているからいいのではなく、自分に一番ぴったり合うからいいのです。私はプラダを例に挙げましたが、自分の生き方に合わないのであればプラダである必要は全くありません。流行であるからとか、みんなが着ているから、ではなく、自分なりの主張で、自分に最適なものを選ぶことが一番大事なのです。それはファッションや着こなしだけではなく、生き方にも通じることではないでしょうか」

(聞き手は平片均也)

ライフコラム 新着記事

ALL CHANNEL