ハワイには、日本からの移民が伝え、今も親しまれているお菓子がある。見た目は日本の和菓子に見えるが、中身がピーナツバターだったり、食感が違ったり、ハワイらしい味付けが楽しめる。長年、ハワイで生まれ育った日系人たちに親しまれてきたが、それを現代的な菓子に進化させようという動きもあるという。
ピーナツバターとアンコのミックス
ハワイの和菓子は実際どんな味がするのか。現地で食べてみることにする。まず地元のスーパーでみつけたのが、その名もずばり「Mochi」。

その見かけから大福餅を連想する人も多いだろうが、口にすると違う食べ物だとわかる。皮の食感が大福とは大きく異なるのだ。具体的には「ムニッ」と柔らかく伸びるような食感だった。中身も大福とは異なる。ピーナツバターとアンコが半々になったMochiを食べたのだが、これが意外においしかった。
「Chichi Dango」という菓子もあった。こちらは広島県の名物、乳団子にルーツを持つ和菓子らしい。広島の乳団子はきびだんごのような食感なのに対して、Chichi Dangoは、もっとぷよぷよして柔らかい。
「ハワイの3世あたりのひとたちの集まりごとでは、MochiやChichi Dangoが鉄板オヤツ」と教えてくれたのはワイキキでIT企業を経営する林誠三さん。日系3世の父を持つ林さんは、山口県岩国市で高校生まで過ごし、その後1980年にハワイに移住した。「自分ももらうので、今もよく食べています。若い世代の日系人が食べているかはわからないですが」
ハワイでプロカメラマンをしている田辺かずとよさんによると「日系人の家庭では、ひな祭りやこどもの日にChichi Dangoは欠かせないというのは今も変わらないようです」。今回の撮影も田辺さんに依頼したのだが、土曜日の午前9時の段階で売り切れの商品もあったという。
健康志向で日系人以外にも人気に
ハワイ和菓子の歴史は古い。今回、撮影したMochiとChichi Dangoは、「Nisshodo Candy Store」と「FUJIYA」、2つのメーカーが作ったお菓子を購入したが、Nisshodo Candy Storeは創業90年、FUJIYAも創業60年だ。
「日本の大福はもち米から餅を作るのが一般的ですが、ハワイのMochiはもち粉から餅を作っています。Chichi Dangoも、もち粉から作られていますが、日本の乳団子とはかなり見た目も触感も違います」と教えてくれたのはFUJIYA社長の中島晶さん。健康志向の高まりもあって、日系人以外でも食べる人が増えているという。