では、佐々木さん自身はスーツのどんなポイントにこだわっているのか。着用したものと同じ店頭の商品を手に取りながら語ってくれた。

■糸の細さがモチベーションを高める

「大人になって求めるものといえばクオリティー。一見、形は一緒でも、クオリティーが違えば、分かる人には必ず分かります。なにより、着ている自分自身が自信を持てる。それは仕事に対するモチベーションを高めることにもつながるはずです」

自分を高めるツールとしてのスーツ。ビジネスに直結するとあっては、素材にも気を抜けない。

「スーツで一番大事なのは生地、ポイントは糸の細さです。細い方が見栄えがいいのは確か。例えば、私がきょう着ているのは『スーパー100』(原毛の太さが18.5マイクロ=マイクロは100万分の1=メートルの生地)のものですが、光沢感があり、触ったときに若干湿った感触があります。また、生地をつまんだときにシワがすぐ戻るかどうかの『復元力』も備わっています。番手(糸の太さ)が細いものを選ぶのが、一つのわかりやすい基準かもしれません」

「30歳代後半の男性なら、ゆとりのあるものを選んだ方が良い」

では、スーツのシルエットはどうか。 20歳代は細身のシルエットを選ぶことが多いが、30歳代後半は何を選べはいいのか。

「今は細身のシルエットが定番的なスタイルとなっています。特に若い人はよりスリムなシルエットを選ぶ傾向にあります。ただし、ちょっと貫禄が出てきた30歳代後半の男性なら、ゆとりのあるものを選んだ方がいいでしょう」

■ゆったりめでクラシカルに

スーツの基本は「サイズ感」。体形に合わせることが重要だ。ただ、佐々木さんは同時に、ゆとりのあるシルエットが持つ意味についても強調する。

「年を重ねるということは、あらがえないものが増えることとイコール。そこを理解した上で選ぶのも、スーツを着慣れた人の選び方でもあります。きょう私が着ているのはややスリムなシルエットに近いが、その中でもクラシックな印象をもたらすサイズ感を意識しました。クラシカルはその名のとおり歴史の重みがあるため、どっしり構えているように見えます。このため、ワタリ(太ももの幅)が広いものを選べば、より落ち着いた印象を演出できます」

ジャケット4万9000円/リセンシー オブ マイン
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