グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

Food Selection

畑耕しチーズ・生ハム 笹森シェフが弘前を選んだ理由 ガストロノミー最前線(3)

2018/5/1

自家製のチーズ、肉加工品、野菜で構成されるアンティパストミスト

調理以前に遡って、食材の味から作り上げるシェフが増えてきた。わけても笹森通彰さんの徹底ぶりは見事だ。畑を耕すだけではない。チーズ、生ハム、ワインまで自家製する。そんな生き方が示唆するところは大きい。

「カンパニリズモ(田舎主義)」と笹森さんは呼ぶ。畑で育てる野菜が20~30種、ハーブは10種。果樹も植えられていて、イチジク、キイチゴ、クルミやアーモンドまでが実りを付ける。鶏小屋には烏骨鶏、冷蔵庫では竜飛沖で自ら釣り上げた50キログラムのマグロが熟成の時を待つ。そればかりではない。ブドウを栽培してワインを仕込み、生ハムをはじめとする肉加工品、チーズまでも手掛ける。

モッツァレラやブラータは国内コンクールで受賞するなど、そのクオリティーへの評価は高い。今、自家製がちょっとしたブームとはいえ、「ダ・サスィーノ」(青森県弘前市)の自家製ぶりは「自給自足」と呼んだ方がいいくらいだ。「イタリアから帰国して、物件を探す前に市役所に行ったんですよ。豚を飼おうと思って」。が、宅地では飼えないことがわかり、諦めた。「自分で作れるものは自分で作ろう、と最初からそう思っていました」

■食文化まるごとの実践

出身地の弘前で店を開くことは修業時代に決めていた。東京のようなマーケットではない弘前で営むにあたり、何を武器にすべきか? イタリアにいる時から考え続け、出した答えが「田舎でしかできないことをやる」

チーズは9~10種を手掛け、ジャパン・チーズ・アワードやフランスの国際チーズコンクールで受賞

「イタリアの田舎では、家庭で豚を飼い、冬が近づくと潰して保存食をこしらえる。自分の畑で採れたブドウを醸造所へ持っていきワインにしたり、山里ではチーズも作ったりするんですよ」。向こうで最初に働いた店、ヴェネト州のミシュラン二ツ星レストラン「ドラーダ」がそうだった。それを弘前でできないかと考えた。

<料理解説>
自家製のチーズ、肉加工品、野菜で構成されるアンティパストミスト。野菜は自家栽培、原材料となる乳や肉はほぼ地元産だ。青森産健育牛のプレザオラ、奥入瀬黒豚のプロシュート、岩木山高原豚のモルタデッラなど。「“ご馳走”という言葉の意味を大切にしたいという思いもあります」

グルメクラブ 新着記事

ALL CHANNEL