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理系脳で五感に訴える料理空間づくり 米田肇氏の挑戦

ガストロノミー最前線(2)

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NIKKEI STYLE

料理人がクリエーティビティを追求すると、レストランという枠組みに収まりきらない可能性が出てきた。グローバル化によって料理のジャンルの境界が崩れつつある今、提供空間の境界をも超えようとしているのが大阪「HAJIME」の米田肇シェフだ。

米田シェフには2015年春、大きな前進があった。世界最大のデザインの祭典、ミラノデザインウィークにレクサスのメンバーとして参加し、数千を超える展示の中からBest Entertaining賞を獲得したのである。

フランスとイタリアを拠点に活動するスペースデザイナー、フィリップ・ニグロとのコラボ「A JOURNEY OF THE SENSES」。"雨""木""地球"を題材に、ニグロが空間を、米田シェフがフードを創出。視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚に訴える世界初のガストロノミー・インスタレーションとして高い評価を得た。バーチャル表現全盛の時代にあって、リアルに五感を刺激するクリエーションがヒューマンで未来的、とは贈られた賛辞の一例だ。

そもそもデザインの世界に「味覚」を持ち込んだこと自体が画期的と言わざるを得ない。"雨"であれば、雨に見立てた細かいポールチェーンに光と映像を投影して視覚的に雨を演出、映像に合わせた雨音が聴覚に訴え、小瓶に入った「Rain Drop」を口に含むと滴のようにパチパチと口の中で弾け、味覚で雨が体験できるような仕掛けである。「1日8000人が訪れたんですよ。予想を超える来場者数にフードが足りず提供できなくなると、体験せずに帰る人が続出しました。昨年までは視覚だけで満足していたはず。それが、味覚を伴わなければ見る意味がないと受け止められたんです」

味覚が入り込める表現領域がまだまだ未開拓であることを証明したわけである。

<料理解説>
HAJIMEのシグニチャーディシュ「地球」。100種を超える食材を使って、地球上のミネラルの循環を表現。直径50センチ超の特注の有田焼の皿でプレゼンテーション。ビジュアルもさることながら素材ごとに施される最適な火入れと調味は緻密で、素材の味をうまく引き出している

ここ数年、料理の提供法を模索し続けてきた。レストランの新しいかたち、料理の新しい鑑賞スタイルがあり得ないのか、と。

レストランの足かせ

というのも最近、レストランに明るい未来が描けずにいるからである。クリエーティブな料理を提供しようと思うと、技術ある人材が不可欠で、高性能な調理機器も居る。空間の設えや維持にも多額を要し、優れた食材の原価はばかにならない。にもかかわらず、コモディティとしての価値設定しか許されない現実。クリエーティビティを追求するには足かせが多過ぎる。

「よく"原価率が高い"といった褒め方をされますが、それは流通の発想ですよね。クリエーティブに対する評価軸ではない」

料理がクリエーティブで語られるには、別の提供法や鑑賞法が必要になってくるのではないか。そう考えていただけに、ガストロノミー・インスタレーションの成功は一筋の光明だった。

思考のうねりが料理になる

代表作の「地球」は、地球上のミネラルの循環を表現している。雨が大地を潤し、森や田畑を育み、その成分が川から海へと運ばれ、海の生育を促し、水は空へと蒸発し……という自然の摂理。

「料理のイマジネーションは子供時代にあります。山や川で遊びながら無意識に体感した大地の息遣いが発想の源泉ですね」

シェフの書棚には生命学、生物学、脳科学、宇宙科学、建築などの本がひしめく。疑問に思うと、問い詰めずにはいられないのは昔からの性癖だ。なぜ、草は生えるのか? なぜ、食べると幸せになるのか? 知識をインプットし、思考し、書き留める。彼のノートは思考のうねりの痕跡そのもの。

この頭脳活動こそが彼のクリエーションとするならば、レストランの皿にすんなり収まりきらないのもうなずける。

大阪 HAJIME
大阪市西区江戸堀1-9-11 アイプラス江戸堀1階
Tel 06-6447-6688
17:30~20:30LO
日曜休、その他不定休
テイスティングメニュー:スタンダード 4万2120円/ショート 3万240円/ベジタブルテイスティングメニュー 3万4020円

文=君島佐和子 写真=加藤純平

君島佐和子(きみじま・さわこ)
「料理通信」編集主幹。「Eating with Creativity」をキャッチフレーズに、食の世界の最新動向を幅広い領域からすくいあげている。

[日経回廊3 2015年8月発行号の記事を再構成]

前回掲載「百年後の人も幸せに サステナブルな食追究するシェフ」もあわせてお読みください。

「Food Selection」記事一覧

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