規制の岩盤に風穴 子育て事業、家族への愛が原点にポピンズ 中村紀子会長(下)

なぜダメなのか。花博でのキッズルーム設置に至る過程でもそうでしたが、保育施設(ナーサリースクール)の運営に際しても、立ちはだかる岩盤規制に挑み、ひとつひとつハードルをクリアしてきたのです。例えば、8時間勤務の常勤保育士の代わりに短時間勤務の人を複数配置し、対応可能になったこともそう。施設規模に応じて入所定員が弾力的に決められるようになったのも規制が緩和された結果の産物です。

「規制との戦い」といえば、クロネコヤマトの宅急便にまつわるエピソードを思い出す人もいるだろう。実はポピンズはヤマト運輸の小倉昌男・元会長をはじめ、数々の名経営者から学んだことをしっかりと経営に生かしている。

「国民を味方につける」「サービスの進化は無限」「相手がいかに巨大であろうと、理にかなわない値引き要請には屈しない」。小倉さんから教えられたのが、この3つです。

待機児童問題が叫ばれるようになり、国や自治体は今、その解決に向けて躍起になっています。社会に追い風が吹いています。ポピンズは単なる子守でなく、子どもの教育まで担うナニーサービスに始まって、その後、保育施設の運営、さらに介護や家事支援と事業をひろげてきましたが、まさにそれはサービスの進化の一環です。

ハワイで行われた対談の席で松下幸之助氏と

企業や大学内の託児施設の運営受託を巡り、価格面で同業他社に負けてしまったり、受託先企業がライバル会社の存在をちらつかせ、値引きを求めてきたりしたことも一度や二度ではないという。

もし値引き要請に屈したら、サービスの質の低下を招き、結果的に利用者に何らのメリットを生まない。そう考えるから、さまざまな要求や競争にも屈することなくやってこれたと思っています。

上質なサービスを支持し、「やっぱりポピンズでないと」と利用者が応援してくれたことも励みになりましたが、やっぱり小倉さんの教えが大きかったと思っています。

「チャンスは貯蓄できない」(宮入バルブ製作所や東京鋼鉄、ツガミなどの経営を立て直し、再建の神様と呼ばれた大山梅雄さん)

「経営者は未来を予測するのではなく、未来を創造する」(経営の神様と呼ばれる松下幸之助さん)

「労働も美徳、遊びも美徳」(ホンダの創業者、本田宗一郎さん)

こうした経営者の方々に直接お会いしていただいたアドバイスは、会社経営のイロハから経営者の心構えまで実に多様で、迷ったとき、行き詰まったとき、進むべき道を示してくれました。でも、それらはすべて偶然の産物ではありません。お会いしてみたい、と思った方には自分から積極的にアプローチする、というのが私の流儀であり、まさにその結果の産物でした。

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