実のところ、スマートディスプレーの中身はタブレットと同じだ。見るだけ・検索するだけのために、タブレットを据え置き型に最適化したのがスマートディスプレーである。ただし画面はタッチパネルになっていないので普通のタブレット用アプリは利用できない。

アマゾンはすでに製品化済み

スマートディスプレー製品を最初に作ったのはスマートスピーカーの元祖である米アマゾン・ドット・コムだ。日本ではまだ発売の予定がないが、米国などでは17年秋より「Amazon Echo Show」という製品が登場している。

アマゾンが米国で販売している「Echo Show」。ディスプレー付きで、ビデオ通話も可能。1台229ドルだが、今は2台買うと150ドル割り引くキャンペーンを展開中

Echo Showは、検索した情報をディスプレーに出すほか、動画の再生やビデオ通話などができる。アマゾンはより安価で、ベッドサイドなどにおける「Echo Spot」という製品も市場に投入、この市場でも先行者利益を確保しようとしている。

小型でベッドサイドに置くことを想定した「Echo Spot」。129ドルだが、こちらも2台買うと40ドル値引くキャンペーンを展開している

一時アマゾンとグーグルは、Echo Show内でのYouTube再生の件でもめ、Echo ShowでYouTubeの動画が再生できなくなったことがあった。今は機能が復帰しているが、ウェブサイトをそのまま見るようなイメージになってしまい、操作性が低下した。一方、グーグルのスマートディスプレーは、音声での操作に最適化されたYouTubeが最初から使える。この辺は少々アンフェアな印象もあるが、グーグルの強みである。

あらゆる家電は「スマートスピーカー化」する

スマートディスプレー製品は、18年後半に向けて、日本でも注目が集まるだろう。だが一方で、それがスマートスピーカーを置き換えるか、というとそうではない。

むしろ、本質的な変化は別のところで起こりつつあるからだ。

スマートスピーカーの本質は、音声で応答する音声アシスタントだ。アマゾンなら「Alexa」、グーグルなら「Googleアシスタント」と呼ぶ機能だ。今後はスマートスピーカーやスマートディスプレーのような専用機器だけではなく、既存の家電にも音声アシスタントが組み込まれる。そうなると専用機器の出番は減ってしまうかもしれない。

グーグルがテレビ向けに提供しているOSである「Android TV」は、バージョン8から「Googleアシスタント」を内蔵する。米国・欧州ではすでに、テレビからGoogleアシスタントが使えるようになり、テレビのリモコンにも「Googleアシスタント」ボタンがついた。日本での製品化は不明だが、18年中には、日本語版Googleアシスタントがテレビから使えるようになるだろう。現状、ソニーとシャープがAndroid TVを採用しており、両社のAndroid TV搭載テレビは、そのままアップデートでGoogleアシスタントの機能を持つようになる可能性が高い。

LGエレクトロニクスも、テレビにGoogleアシスタントを搭載した製品をCESで展示した。日本でも製品化する可能性は高い、と筆者は見ている。

今後、テレビに組み込まれたのと同じように、様々な機器に音声アシスタントが組み込まれていくだろう。オーディオ機器などはもちろんだが、洗面台やトイレ、インターホンなど、あらゆる可能性がある。アマゾンはグーグルと違い、様々な企業が自由にAlexaを機器に組み込めるように仕様を公開している。だから、テレビではグーグルが先行するものの、よりバリエーションの広い家電への搭載は、アマゾンが先行する可能性もある。

17年からのスマートスピーカーのブームは、そうした流れの前哨戦にすぎない。本当の競争はここから始まるのだ。

西田宗千佳
 フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。
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