――洋服は自然を思わせるアースカラーが多いですね。アスルメンディの思想と共通項がありそうです。
「アスルメンディは約7000平方メートルという広大な敷地を持ち、バスクの自然と共生する食の場、という視点を大切にしています」
「ブドウ畑や花壇を持ち、植物園のような広場があり、空調や物流で循環型のエネルギーシステムを整えています。サステナビリティー(持続可能性)の高いレストランとして表彰されました。地元の環境を大切にしたいので、店をつくるときは自分の家のように考えました」
――ファッションでも地元の製品を意識していますか。
「25年前からイヤリングをつけるようになり、きょうは左右の耳に、木製とシルバーという異なる素材のイヤリングをつけています。木製のイヤリングはバスクの職人が作っていたものです。また、アスルメンディのユニホームを担当している女性デザイナーは、バスクに着想した服を作っています。彼女はクリエーティブな人で、これから有名になるのではないかと思います」
■ファッションと料理は「デザイン」で共通する
――好まれるアイテムはどれもシンプルですが、デザイン性に富んでいますね。「エネコ東京」もインテリアやアートの選択がモダンでユニークです。
「建築やデザインにとても興味があります。東京の店のテーブルや椅子はアスルメンディから持ち込んだもの。まもなくビルバオに新しいレストランを開きますが、そこでも建築や内装にこだわりました。私にとってデザインはアート。建築、プロダクト、グラフィックとあらゆるデザインから影響を受けています」
「ファッションと料理に共通するのも、デザインです。料理では皿の上のプレゼンテーションがとても大切で気を配ります。私にとって、ガストロノミーはあらゆることを表現できる『言語』。皿の上で、価値観やカルチャー、文化などを表現したいと思っています」
(聞き手は編集委員 松本和佳)
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