新レッツノート「SV」 進化点は顔認証とUSB充電
戸田覚のPC進化論

ユーザー視点の辛口評価で好評の戸田覚氏が、パナソニックのレッツノートの新シリーズ「SV」をレビューする。ビジネス向けモバイルノートPCの定番であるレッツノートはどのように進化したのか。前機種の「SZ」を愛用している戸田氏の意見はいかに。
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パナソニック「レッツノート」シリーズの売れ筋は、12.1型液晶を搭載するモデル。定番は「レッツノートSZ」で、僕も愛用している。その人気シリーズの新機種が登場したのでレビューしていきたい。
新登場の「レッツノートSV」はボディーが一新されている……と言っても「ん どこが違うんだ?」と思うだろう。僕も最初はそう思った。ところが、実際には外装もほぼすべてが変わっている。光学ドライブの位置が変更されてるし、LEDの位置も異なる。ディスプレー部分も微妙に手が加えられており、ちょうつがいの形状も違う。
本体の重量も微妙に重くなっている。最軽量モデル同士でレッツノートSVとレッツノートSZを比べるとSVが999g、SZが929gで70gの差がある。この差が生まれた理由はいくつかあるが、最も大きいのがクアッドコアCPUを搭載したことだ。前機種と比べて処理性能が1.3倍になっているとのことだが、単にクアッドコアCPUを搭載しただけでは性能をフルに引き出せない。放熱などに配慮した結果、重量が増してしまったわけだ。
70g程度なら気にならないという人も多いだろう。だがレッツノートファンの僕は、微妙にがっかりした。軽量化とは言わないまでも、せめて同じ重量に収めてほしかったところだ。


顔認証対応カメラを搭載
レッツノートSVが搭載するディスプレーは12.1型で、解像度は1920×1200ドットとなっている。いわゆるフルHDとほぼ同じだが、最近は高解像度のモバイルノートも多いので物足りないと思うかもしれないが、実用上は十分な解像度だろう。4Kレベルまで解像度を上げたとしても、それでは文字が小さくて見づらくなってしまうのだ。
液晶は例によってアンチグレアだ。反射が抑えられており、明るい屋外でも見やすい。仕事で使うパソコンは、動画や写真がきれいなものより、文字が見やすいものであるべきだ。外出先で使うことを考慮すれば、モバイルノートの液晶はアンチグレアが絶対条件だと断言できる。
またレッツノートSVは、ディスプレー上部に顔認証用のカメラを搭載している。紛失のリスクがあるモバイルノートでは生体認証も必須と言っていいが、顔認証と指紋認証のどちらがいいかは迷うところだろう。手袋をしているときは顔認証が便利だし、マスクをしているときは指紋センサーが重宝する。それでも僕が愛用しているレッツノートSZは生体認証非対応なので、大いにうらやましく感じる部分だ。


光学ドライブは必要だろうか?
レッツノートSVの拡張性は素晴らしく、本体の両側にUSB端子3つ、USB Type-C端子1つ、VGA、HDMI端子などを搭載している。もちろん、端子の数は多いほどいいわけだが、そろそろVGAはなくてもいいかもしれない。また、僕自身は、レッツノートSZを購入して以来、1度たりとも光学ドライブを使ったことがない。いまどきはDVDでデータをやり取りすることもなくなったし、映画なども動画配信サービスで見るからだ。
もちろん、光学ドライブを搭載するモデルがあってもいいと思う。さまざまなメディアに対応するのはレッツノートらしいところではあるが、レッツノートSZの店頭モデル全6種の中で光学ドライブ非搭載は1モデルのみ。しかも、そのモデルはSSDではなくハードディスクドライブ搭載だ。例えば4モデルが光学ドライブ非搭載で、2モデルが搭載するなど、バランスを逆にしてもいい頃だと思う。光学ドライブよりもSIMカードスロットを搭載したモデルが欲しいという人も少なくないだろう。


USB Type-C充電は素晴らしい
レッツノートSVが完成度の高い機種であるのは間違いないが、SZで満足している僕としては買い替える気にはならない。むしろ、長く使えるのがレッツノートのいいところだと再認識しているくらいだ。しかも今回はデザイン的にもほとんど変わっていないので、SZが古めかしく見えるようなこともない。何より税込みで30万円近い出費は大きい。
とはいえ、レッツノートSVには買い替えたい気持ちにさせるポイントもある。レッツノートSZにない顔認証はうらやましいし、さらに心をくすぐられるのはUSB Type-C端子を搭載していることだ。しかも、USB Type-C端子はPowerDelivery(PD)に対応しており、他の機器の充電にも使えるし、自身の充電も可能だ。レッツノートSZに付属するACアダプターは専用端子だが、USB Type-C端子とどちらからでも充電できるわけだ。
実際に試してみたところ、手元にあったモバイルバッテリーやUSBアダプターからもUSB Type-C端子経由で充電できた。付属のACアダプターの出力は85Wだが、僕がテストしたモバイルバッテリーとUSBアダプターは30Wなので充電速度は落ちるだろう。もちろん、そうした使い方はメーカーが保証するものではないが、モバイルバッテリーをスマートフォンなどと共用できるのはありがたい。
PD対応USB Type-C端子の存在は、複数の端末を持ち歩くモバイルユーザーにはとても大きな購入動機になるはずだ。正直に言うと、やや保守的なレッツノートが先陣を切るとは思っていなかったのだが、PD対応USB Type-C端子を搭載したことで一気にライバルを突き放した感すらある。


1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。
[日経トレンディネット 2018年2月13日付の記事を再構成]
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