backひと言で違う意味に うっかり使うとキケンな英語
デイビッド・セイン「間違えやすい英語」(5)back
「言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、backの使い方。backが入るだけで意味が大きく変わってしまう場合があります。
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勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。
そろそろ就業時間。皆が各々帰り支度を始めるころ、ナンシーがひろしに声をかけます。ひろしの答えを聞いたナンシーは「ひろし、あなた何言っているの? あなたの実家は確か沖縄だったわよね」。ひろしはひろしで、明日の会議をすっぽかさないようにと念押しされて、何か腑に落ちません。ひろしは「今夜は家に帰るよ」と言っただけなのに。実はそこに問題があったのです。
それはこんな会話でした。
Hiroshi: I'm going back home.
Nancy: But you're from Okinawa! We have an important meeting tomorrow.
Hiroshi: Um… I know, but…
Nancy: Just don't miss the meeting!
日本語に訳してみるとこうなります。
ひろし:実家に帰るんだ。
ナンシー:でも、あなた沖縄出身よね! 明日は重要な会議があるのよ。
ひろし:うーん、分かっているけど……。
ナンシー:会議をすっぽかさないでね。
go back homeは 「我が家へ帰る」ですが、これは現在自分が住んでいる家ではなく、「実家に帰る/戻る」の意味になります。I'm going back home. 「(沖縄の)実家に帰るんだ」と言われたナンシー。それは驚くでしょう。I'm going back home. は I'm going back to my parents'. / I'm going back to my hometown. と同じ意味になるのです。 *my parents' は my parents' home 「両親の家」
では、どう言えばよかったのでしょう。