小原 そう、ホーンのイメージが強いけど、その後ろにストリングスがあるんです。これまでも聞こえていた音かもしれないけど、その存在をわからせてくれたという意味ではすごい。完全ワイヤレスでこんなに「気づき」がある音ははじめてです。

小沼 僕は卓球と旅人(電気グルーヴの石野卓球とシンガーソングライターの七尾旅人によるユニット)の「今夜だけ」という、アコギの弾き語りにエレクトロニックな音が重なっていく曲を聴いていたのですが、空気感がとても繊細に再現されていて、ギターを弾く指使いが見えてくるような気がしました。これまで気づかなかった音に気づけるだけじゃなく、聞こえていた音の表情も再発見できるイヤホンだと思います。

小原 これだけの奥行き感やレイヤーを表現できている完全ワイヤレスは他にないです。JBLらしさという点ではもう少し馬力や押し出しがあってもよいと思いましたが、プレーンな音作りで、クラシックもファンクも、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)もアコースティックな曲も、何を聴いても良いと思いますね。

世代間で差があるJBLのイメージ

小沼 そもそも、JBLってオーディオ界ではどんな位置づけなんでしょう?

小原 そうか、平成世代は知らないのか……。僕のように1970~80年代のオーディオブームに青春を送ってきた人間からすると、JBLの3文字はひれ伏すほどの神通力があるんですよ。誰もが一度は使いたいスピーカーと思っていた、憧れの存在です。特に日本では。

小沼 そんなにですか! 僕、最近までそんなことは知らずに「安いわりに音が良いな」と思ってJBLのイヤホンを使っていました。

小原 JBLも最近は主戦場がBluetoothスピーカーやイヤホンに移ってきているんでしょうね。ただ、当時に憧れた身からするとJBLがこちらに注力しているのは歯がゆくもあるんですけどね。たしかに、最近のJBLはスピーカーではそこまで画期的なものは出てないからなあ……。いやあ本当に、僕の青春時代の憧れの存在だった……。

小沼 (昔語りのスイッチを入れてしまったかな……)。

人混みでのペアリングの切れやすさに難

小沼 音質は小原さんも太鼓判ですが、僕はペアリングが途切れやすいのが気になりました。新宿や渋谷などの人混みや満員電車の中だと左右のペアリングが切れやすく片方からしか聞こえなくなったり、スマホとの接続が切れてしまって音楽が聞こえなくなることがありました。

小原 僕もペアリングは不安定だと感じましたね。これまでに使ったソニーやBOSEは一瞬途切れることがあっても、すぐに再接続されていた。でもJBL FREEは一旦途切れると、なかなか再接続もされないんですよ。

小沼 一度は駅のホームにいる時は問題なかったのに、電車がホームに入ってきた途端不安定になったこともありました。ネット上のレビューでも途切れやすい点は指摘されています。JBL製品を取り扱うハーマンインターナショナルにも確認したところ、「Bluetoothなどの2.4GHzの電波が複数ある場所(駅などの人通りの多い場所など)では干渉により左右の接続が一時的に切れることがあります。現時点でのソフトウエアのバージョンアップなどでの対応予定はありません」とのことでした。

小原 ただ、ペアリングが不安定という弱点もありますが、それを補ってあり余る音質だと感じました。家で聴くとか、通勤の電車の中では聴くけど歩く時は外すという人には申し分ないと思いますね。

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