皮膚科女医がチェック! 間違いだらけの冬の肌ケア
肌にいいと思って長年続けていることが、実は間違っていた!? 目からウロコの正しい肌ケアについて、美肌のプロ、皮膚科の女医3人に教えてもらいました! 「日経ウーマン」読者アンケートによる正答率も併せて紹介。正しい冬の肌ケアを身に付けて、ぷるぷる美肌に近づけましょう。
【あなたの肌タイプとコスメ量は? まずは2つのチェック】
肌タイプチェック
洗顔後の肌の状態で、自分の肌タイプを知ることができる。季節ごとにチェックする習慣を。
(1)洗顔する:夜行う場合はクレンジング機能のある洗顔料で、朝行う場合は通常の洗顔料で顔を洗う。丁寧にすすぎ、清潔なタオルで水分を取る。
(2)そのまま5分待つ:化粧水や乳液などはつけずに、そのままの状態で5分待つ。5分たったら手で肌に触れたり、鏡を見たりして、肌状態をチェックしよう。
→ 肌が突っ張る人は… 乾性肌(ドライスキン)
皮脂量も水分量も少ないので、化粧水と美容液で肌の保水力を高め、乳液やクリームなどの油分で潤いを保つケアが必要。
→ 直後から肌表面に皮脂が浮く人は… 脂性肌(オイリースキン)
皮脂量も水分量もたっぷりあるので、皮脂分泌がこれ以上多くならないよう、乳液やクリームなどの油分を与えすぎないケアを。
→ 直後はカサつき、徐々にベタつく人は… 乾燥性脂性肌(インナードライスキン)
皮脂量は多いが、水分量は少ないので、化粧水や保湿成分入りの美容液で潤い補給を。水分を流出させないよう洗顔のしすぎにも注意。
コスメ量チェック
乳液やクリームはつけすぎても不足してもNG。自分の使っている量が適正か、確認してみよう。
(1)朝起きたら両手で顔に触れる:夜の洗顔後、いつも通りに化粧水や乳液、クリームなどを塗って就寝する。翌朝、起きてすぐの肌に、両方の手のひらで触れてみて。
(2)両手についた脂を確認する:手のひらにどのくらい脂がつくかで、保湿のしすぎか否かを判断できる。部位によっても異なるので、肌全体をチェックしよう。
→ 目に見えるくらい脂がつく… クリーム過剰
手のひらがベタッとするようなら、油分を与えすぎているサイン。ニキビができたり、毛穴が目立つ原因になったりしやすい。
→ 見えるほどの脂はつかない… クリーム過剰ではない
肌にしっとりとした感触があるならベスト。手のひらがカサカサするようなら、逆に保湿が足りないサインなので量を増やしてOK。
【〇? ×? 冬の肌ケア、正解はこれ!】
その1 スキンケア編
・冬になると目立つ「乾燥毛穴」がある
「冬は肌表面の水分量が低下し、肌の弾力も減ります。そのため肌のハリが失われて、毛穴が縦長に開く『乾燥毛穴』が目立ちやすくなります」(高瀬聡子さん)。また、「実は冬はニキビもできやすい季節」と佐藤薫さん。「乾燥すると肌の新陳代謝が低下し、古い角質が肌に残りやすくなります。すると毛穴が角質でふさがれ、皮脂が詰まりやすくなるため、ニキビができやすくなるのです」(佐藤さん)。保湿ケアが、結果的に毛穴やニキビの予防に! → 正解:○ (読者正答率 35.1%)
・化粧水の後は、すぐにクリームなどの油分でフタをすべきだ
化粧水で肌に潤いを与えた後に、乳液やクリームなどの油分で保湿すること自体は○。問題は油分をつけるタイミング。「化粧水でぬれている肌の上に乳液やクリームをつけると、水分と油分とが混ざり合って肌になじみにくくなります。化粧水をつけた後、肌の上に水分の残りを感じない程度になじんだのを確認したらすぐに、乾燥の気になる部分を中心に乳液やクリームをなじませましょう。突っ張るほど時間を置きすぎるのは禁物です」(佐藤さん) → 正解:×
・唇の荒れ予防にはリップクリームをこまめに塗るとよい
皮脂の出る穴、皮脂腺がなく角層も薄い唇は、冬になるとひときわ乾燥して荒れやすい。「クリームなどで保護することが必須ですが、スティック状のものをぐりぐり強く唇に塗り込むのはNG。摩擦による刺激で、皮むけを起こすケースは少なくありません。唇が荒れやすい人は、ジャーに入った柔らかいリップ用バームやワセリンを指の腹に取り、優しくなじませるのがおすすめ。また、メントール成分が刺激になることもあるので気を付けましょう」(佐藤さん) → 正解:△(読者正答率 35.1%)
・シートマスクは、表示の時間よりも長く使わないほうがいい
「シートマスクをつけたまま時間を置きすぎると、マスクから水分が蒸発し、逆に肌の潤いがマスクに奪われてしまうこともあります」(高瀬さん)。また、「角層が過剰に水分を取り込むと、肌がふやけて角層がはがれやすくなり、肌の保湿成分である角質細胞間脂質が流出。かえって乾燥しやすくなることも。普段は定番のスキンケアを行い、大切な日の前にだけ、美白や保湿などの美容成分が高濃度に配合されたマスクを取り入れるなど、メリハリをつけるといいですね」(阿部さん) → 正解:〇(読者正答率 46.1%)
・週末の「肌断食」で肌トラブルがなくなる
あえて保湿をしないことで肌本来の潤う力を引き出すというのが、いわゆる「肌断食」の考え方。肌によさそうなイメージはあるものの、「保湿をしないということは、すなわち肌を乾燥させること」と高瀬さん。「1日保湿を怠ると、肌がゴワゴワしてくるとか、刺激に敏感になりやすくなるなど、後からツケが回ってくるリスクが高まります」(高瀬さん)。乾燥知らずの肌を目指すなら、スキンケアは休まず続けよう。 → 正解:×
・乾燥肌の人は、朝はぬるま湯だけで洗顔するほうがいい
「乾燥している肌を洗顔料でゴシゴシ洗いすぎると、外部の刺激から肌を保護するバリア機能が低下し、肌トラブルの原因になります。就寝中についたほこりや皮脂は、ぬるま湯だけで十分に落とせます」(阿部さん)。ただし、「皮脂分泌が活発でニキビができやすい人は、冬の朝も洗顔料を使って洗顔をすることをおすすめします。ニキビは皮膚の感染症なので、常に清潔に保つことを心がけましょう」(佐藤さん) → 正解:○(読者正答率 26.6%)
・洗顔しすぎて肌が乾燥すると、ニキビができやすくなる
汚れをきちんと落としたい一心で、洗浄力の強い洗顔料でゴシゴシ洗うとか、二度洗いなどをしていると、必要な皮脂まで落としてしまい、乾燥を招くことになる。すると、「皮脂が不足していることを肌のセンサーがキャッチして、皮脂分泌を増やします。その皮脂が一定の場所に集中し、毛穴を詰まらせてニキビができやすくなるのです」(高瀬さん)。ベタつくからと、皮脂のとりすぎはNG。洗い上がりの肌が突っ張らない洗顔を心がけて。 → 正解:○(読者正答率 30.3%)
・化粧水をコットンに染み込ませてパッティングすると、肌の奥まで浸透する
コットンを使ってパッティングすると、つい手に力が入って肌を強くたたいてしまいがち。その結果、肌に負担がかかるのはもちろん、肌の表面しか潤わないことになりやすい。「浸透力をよりアップさせるには、手のひらで肌の奥に水分を押し込むように優しくなじませるのがおすすめ」(高瀬さん)。手でなじませると、自分の肌の状態も分かりやすい。「均一につけたいなら、コットンで優しくなじませるのはOK」(佐藤さん) →正解:×
その2 メイク・UV編
・肌のためには、紫外線は徹底的に避けたほうがいい
紫外線の浴びすぎはシミやシワなどの原因になるが、冬も外に出て適度に日光を浴びることは必要。というのも、「紫外線には体内でビタミンDを生成するという大切な働きがあるため。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にする働きで知られていますが、肌の新陳代謝を促し、角質を柔軟にする、炎症を抑えたりと、美肌のためにも有効です。手など体の一部を出して、10分程度屋外で過ごすだけでも効果はあります」(阿部さん) → 正解:×(読者正答率 66.4%)
・ファンデーションは塗らないほうが、肌の負担が小さくなり美肌にとってよい
「ファンデーションに含まれる顔料は、多かれ少なかれ肌に負担を与えるものなので、塗らないで済むなら、それに越したことはありません。また、ファンデーションを塗らないとクレンジングの必要もなくなるので、界面活性剤による肌への負担も減らすことができます」(高瀬さん)。低刺激で肌への負担が小さいことをうたったファンデーションもあるが、「肌にとって本来余計なものであるという意味では同じです」(高瀬さん) → 正解:○(読者正答率 22.9%)
・週末はノーメイクのほうが肌にいい
「保湿を断つ肌断食はすすめられませんが、週末にノーメイクで過ごすのは、平日のフルメイクで疲れた肌を休ませるために『あり』です」(高瀬さん)。ただし、「ノーメイクで過ごすときも紫外線対策を忘れないで」(佐藤さん)。1日中室内で過ごす場合でも、シワやたるみの原因になるUVAはガラス窓を通すので注意を。「朝のスキンケアの一環として、日焼け止めを塗る習慣をつけるといいですね」(佐藤さん) → 正解:○(読者正答率 32.8%)
・日焼け止めは、SPF50以上、PA+++以上のものを1年中使うといい
SPF50以上、PA+++以上の日焼け止めは、海や山など紫外線が強い場所で長時間過ごす場合向きで、その分刺激も強い。日常生活で浴びる紫外線なら、1年を通してSPF25~30、PA++程度で十分防ぐことができるという。ただし、紫外線量の少ない冬だからといって、外出時に日焼け止めなしはNG。「弱い紫外線を慢性的に浴びると、シミができやすくなるだけでなく、皮脂が酸化し、ニキビの原因になることもあります」(佐藤さん) → 正解:×(読者正答率 88.9%)
その3 食事・生活習慣編
・間食は、ナッツならいくらでも食べてもいい
ナッツには、美肌に役立つ成分がギュッと詰まっている。アーモンドには、腸を整える食物繊維、抗酸化力の高いビタミンE、保湿成分のセラミドを増やすマグネシウムが豊富。クルミには、良質の脂がたっぷり。小腹がすいたときなどにつまむのに最適だが、「1粒当たりの油の含有量が多いので、たくさん食べるとニキビが悪化することもあります。カロリーの過剰にならないためにも、1回5粒程度に抑えましょう」(阿部さん) → 正解:×
・糖質オフは、実は肌にもいい
白砂糖をたっぷり使ったスイーツなどをたくさん食べるのは、肌トラブルのもと。「過剰な糖を代謝するために、体内のビタミンや亜鉛、鉄などが消費されるので、乾燥などによる肌のダメージが修復されにくくなります」(阿部さん)。さらに、体内の糖とたんぱく質や脂質とが結びついて起こる「糖化」が、肌の黄ぐすみやシミ、シワなどの原因に。10年後、20年後も若々しい肌をキープするためには、甘いモノは控えめにすることが大切! → 正解:○
・トンカツは美肌によくない
太りやすいのはもちろん、肌もベタベタになりそう……。そんなイメージを持つ人も多いトンカツだが、「豚肉には美肌づくりに役立つビタミンB群やたんぱく質が豊富に含まれています。良質な油で揚げたトンカツを時々食べることは、肌の潤いを高め、ツヤをアップする上でも効果的です」(高瀬さん)。逆に、カロリーを気にして油や肉類を極端に控えると、肌がカサつき、美肌から遠ざかる一因に。油も肉類もバランス良く摂取しよう。 → 正解:×
・コーヒーは美肌に役立つので、たくさん飲むほうがいい
コーヒーには抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれている。しかしその一方でカフェインも多く、「飲みすぎると利尿作用で脱水症状を引き起こし、肌に必要な水分まで奪われやすくなります。これは緑茶や紅茶も同じこと」(阿部さん)。さらにコーヒー、緑茶、紅茶に含まれるタンニンには、女性にとって重要な鉄の吸収を妨げる働きも。「これらの飲み物は、1日1杯を目安に取るようにしましょう」(阿部さん) → 正解:×
・運動や入浴で積極的に汗をかくと、肌が乾燥しにくくなる
「実は、汗は美肌のために不可欠なもの」と阿部さん。「汗には肌の新陳代謝を促す乳酸や、保湿成分を補うミネラルや尿素などが含まれています。冬になると肌が乾燥するのは、汗をかかなくなることにより、肌の新陳代謝が低下することが大きな要因のひとつ」(阿部さん)。そこで冬の間は、運動や入浴で積極的に汗をかく習慣を。「入浴前に洗顔を済ませておくと、お風呂でかいた汗を洗い落とさずに済み、保湿効果が高まります」(阿部さん) → 正解:○(読者正答率 20.7%)
・汗をかかない冬は、夏よりも水分を控えていい
「汗をかかない冬だからこそ、体の内側からしっかりと水分補給をするのが正解」と阿部さん。なぜなら、「肌の潤いを保つ成分のひとつ、天然保湿因子は、角質細胞自体に潤いを与えますが、体内の水分が足りないと皮脂膜が形成されにくくなり、乾燥しやすくなってしまうのです」(阿部さん)。たとえ喉が渇いていなくてもこまめに水分を取ることが、冬の乾燥対策の鍵。「1日1.5~2リットルを目安に水分を取りましょう」(阿部さん) → 正解:×
・肌のために一番大切な栄養素はビタミンCなどの抗酸化成分だ
ビタミンCなどの抗酸化成分ももちろん大切だが、「肌のためにより重要なのはたんぱく質。肌のハリや弾力を保つ真皮の膠原線維や弾性線維はそれぞれ、コラーゲン、エラスチンというたんぱく質で構成されているからです」(阿部さん)。とはいえ、たんぱく質だけをたくさん取ればいいというわけではない。「たんぱく質をはじめ、ミネラル、ビタミン、脂質、炭水化物という5大栄養素を、バランス良く取りましょう」(阿部さん) → 正解:×(読者正答率 76.4%)
・寝る直前までスマホを使うのは肌によくない
夜にスマホを見ることの問題は、画面から出るブルーライトにある。網膜が強い光の刺激を受けることで脳が「朝だ」と勘違いしてしまうため、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしやすくなる。「睡眠の質が低下することで、美肌をつくる成長ホルモンの分泌が妨げられます。肌の新陳代謝も低下し、トラブルが起きやすくなります」(高瀬さん)。質の良い睡眠も、美肌の鉄則のひとつ。就寝前はできるだけスマホの使用を控えよう。 → 正解:○(読者正答率 49.1%)
青山研美会クリニック院長。安全で効果的な美容皮膚科治療を行うと同時に、食事や運動など体の中からのケアを重視したアドバイスもする。著書に「40歳からの『正しい』美肌の教科書」(永岡書店)がある。
ウォブクリニック中目黒総院長。丁寧なカウンセリングに基づいた美容医療を行うとともに、自身のスキンケアブランド「アンプルール」を開発。近著は「気になるパーツのスキンケア 2週間速攻メソッド」(宝島社)。
かおるクリニック院長。日本形成外科学会専門医。経験に基づく知識や技術をもとに最新医療を取り入れ、ひとりひとりの肌の悩みに応じた治療法を提案。スキンケアの指導にも力を入れている。
(ライター やまきひろみ)
※アンケートは2017年12月に日経ウーマン公式サイトで実施。有効回答271人について集計した。
[日経ウーマン 2018年2月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
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