めまい、頭痛…心療内科医が教える自律神経不調のケア

日経ヘルス

2018/1/29
とことんがんばり続けた結果、「もう限界」というサインとしてさまざまな不調が表れるのが自律神経失調症。心療内科医お薦めの自分でできるケアは?(イラスト:崎田ミナ)
とことんがんばり続けた結果、「もう限界」というサインとしてさまざまな不調が表れるのが自律神経失調症。心療内科医お薦めの自分でできるケアは?(イラスト:崎田ミナ)
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動悸(どうき)やめまい、頭痛や吐き気など、自律神経の乱れによる不調はさまざま。「どうしてこんな症状が? という不透明さに患者さんは悩んでいる」と、心療内科医の福永伴子院長。福永院長が薦める4つの自律神経ケアを心がけよう。

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自律神経の乱れによる不調は、動悸やめまい、頭痛や吐き気、暑くもないのに汗が出るなど、多岐にわたる。「耳鼻科や頭痛外来を受診したけれど『特に異常はない。おそらくストレスが原因でしょう』と言われた、と心療内科を受診する人が多い」。ベストセラー「ずぼらヨガ」(飛鳥新社)の監修を務めた、ともクリニック浜松町の福永伴子院長は言う。

自律神経症状には出やすいタイミングがある

現代女性の自律神経症状の原因となるのは、職場の人間関係、家庭内での葛藤、将来への不安といった心のストレスや、過重労働による体のストレス。「最初のうちは、がんばらなくちゃ、と闘うけれど、やがてエネルギーが枯渇し、限界を迎えたときに心身のSOSサインとして症状が出る」と福永院長。

ストレス負荷に対して闘っているときは、苦痛をまひさせてがんばる「抵抗期」が続く。そして、もう限界、というときに自律神経症状が表れ、放置すると症状はさらに悪化する(セリエによるストレス学説)

また、女性の場合は月経前1週間ほどの「黄体期」に、イライラやうつうつといったPMS(月経前症候群)の症状が悪化しやすくなる。「女性ホルモンに指令を送る脳下垂体は、自律神経をコントロールする視床下部のすぐ下にあるため。更年期も同様に、自律神経がホルモン変化によって揺さぶりを受け、さまざまな自律神経症状が起こりやすい」(福永院長)

ホルモン周期の概念図。月経前の黄体ホルモン分泌が高まっている時期から起こりやすいのがPMS(月経前症候群)。この時期に、自律神経も乱れやすく、自律神経症状も出やすいという

心療内科ではどのように治療を進めていくのか。「動悸や不眠など、困っている症状を和らげる薬を処方することもあるが、不調が起こって当然なくらい自分が苦しい状況だったのだ、と気づくだけで、安心し、不調が軽くなることが多い。自律神経症状とは、不調の原因がわからない不透明さへの苦しみともいえる」(福永院長)

診察の際には、仕事や家庭の状況などを細かく聞いていき、自分に大きく負荷をかけていた要因への「気づき」を促す。「自律神経症状は決して悪いものではなく、ストレス負荷がかかっていることを教えてくれているもの。ストレス要因を見つめ、何をどうコントロールしていけばいいかを一緒に考えていく」(福永院長)

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福永院長が薦める4つの自律神経ケア