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心筋梗塞などの「血栓症」 なぜ冬は特に注意が必要?

日経Gooday

2018/1/19

心筋梗塞や脳梗塞などの「血栓症」は冬場に特に増えるといわれる。一体なぜか。そもそも血栓はなぜできるのだろうか(c)staras-123rf
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 冬場は心筋梗塞や脳梗塞など「血栓症」を発症する人が増える。血栓とは血管内にできる血の塊のことだが、なぜ血栓ができてしまうのか。また、血栓症とはどのような病気で、血栓症を防ぐにはどんな対策が有効か。血管外科医で北青山Dクリニック院長の阿保義久さんに話を伺った。

■「血栓」は出血を防ぐ防御反応によってできるもの

――「血栓」とはどんなもので、どのようにしてできるのでしょうか。

 血栓とは、血管内の血液が何らかの原因で固まってできる血の塊のことです。血液が血管内をスムーズに流れているのは、血液を固まらせるための「凝固」という性質と、溶かすための「線溶」という性質のバランスが保たれているからです。ところが、血管が傷ついたり、破れたりして出血が起こると、止血のために凝固の性質が働きます。すると、傷ついた血管を栓で塞ぐように血の塊ができることから「血栓」と呼ばれています。

 ウィルヒョウ(Virchow)というドイツ人病理学者は、血栓ができる背景として3つの要因を挙げており、これらは「ウィルヒョウの3要素」と呼ばれています。1つは、血管壁の最も内側で血液に接している「血管内膜の状態」の変化。2つめは「血液の成分」の変化、3つめは「血流」の変化です。

 例えば、動脈硬化は血管内膜の変化の1つです。血液の成分の変化には、水分不足による脱水などが含まれます。血流の変化は、血液の流れが滞ったり、乱れたりすることが影響します。

■「血栓症」には大きく3つのタイプがある

――血栓が原因となって生じる「血栓症」とはどのようなものでしょう。

 何らかの原因によって血栓ができ、その血栓が血管を詰まらせることによって生じる疾患のことを、総称して「血栓症」と呼んでいます。この血栓症は、大きく3つのタイプに分けることができます。

 1つは、生活習慣病を背景にした血栓症。2つめは、60代以降の高齢で起こりやすくなる血栓症。そして3つめが、病的な背景や年齢などに関係なく、環境次第で誰にでも起こり得る血栓症です。

――それぞれの血栓症について、特徴や代表的な疾患を教えてください。

 1つめの生活習慣病を背景にした血栓症は、動脈硬化(アテローム性動脈硬化)によって引き起こされます。高血圧や高血糖、脂質異常などの生活習慣病がある方は、血管の内膜を覆っている内皮細胞にコレステロールなどの脂肪物質がたまりやすく、じゅくじゅくしたお粥(かゆ)状の粥腫(じゅくしゅ=アテローム)が作られます。このアテロームが肥厚した状態をプラークといいますが、何らかのきっかけでプラークが破れると、プラークの成分を異物と見なして、防御のために凝固の作用が働きます。それによって血栓が作られ、血管の内腔(ないくう)が塞がれる(塞栓)と、血流が途絶えて末端の組織に酸素や栄養素が送られなくなり、壊死(えし)を起こします。

 これがいわゆる「梗塞」と呼ばれる状態で、心臓に血液を送る冠状動脈で起こると心筋梗塞、脳に血液を送る動脈で起こると脳梗塞となります。また、小腸や大腸などの消化管に血液を送る上腸間膜動脈が血栓によって閉塞し、広範囲の消化管が壊死する上腸間膜動脈閉塞症もこのタイプに該当します。

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