「お風呂で汗をかいて酒を抜く」がダメな本当の理由

日経Gooday

「飲酒には、一時的に血圧を下げる作用があります。アルコールを飲むと、アルコールの代謝生産物のアセトアルデヒドの血中濃度が増えることで、血管が拡張し血圧が下がるのです。この血圧低下に反応し、血圧を維持するため、交感神経系が活性化し、脈が増加すると考えられます」(梅村さん)

飲酒によって普段よりも血圧が下がることで、入浴による血圧のアップダウンの変化の幅がより大きくなる危険性があります。さらに、「飲酒後」+「寒い季節」の入浴は一層危険です。梅村さんは、「飲酒後は、アルコールによって意識が朦朧(もうろう)としているため、危機管理能力も低下しており、これがさらに危険度を高めてしまうと考えられます」という。

お酒を飲んだらお風呂よりシャワー

飲酒後の、特に寒い時期の入浴の危険性を知ってもなお、「それでもその日のうちにさっぱりしたい」と思う人は少なくないはず。何かいい方法はないものでしょうか?

梅村さんは、「さっぱりしたいという気持ちは分かりますが、入浴するのはアルコールが代謝され、アルコールの影響がなくなった後にしてください」と釘を刺す。アルコールが体内から消えるまでには、体重60kgの成人男性の場合、純アルコール20g(ビール中びん1本、日本酒1合)で約3~4時間かかるといわれています。

それでもなお、なるべく早くさっぱりしたいという人には、「ぬるめのシャワー」がお勧めです。

「ぬるめのシャワーであれば、湯船につかるより体の負担が少なくなります。そして万が一、倒れたとしても溺死することはまずありません。気を失って倒れた際に怖いのは溺死です。日本人は湯船につかる習慣があるため、他国に比べて圧倒的に湯船での溺死者が多いのです」(梅村さん)

海外では一般的なシャワーという選択肢を忘れがちですが、確かにシャワーなら倒れても打撲程度で、死に至る可能性はずっと低くなりそう。今後、飲酒後にお風呂に入りたくなったら、シャワーを選択するようにしましょう。もちろん、冬場は脱衣所や浴室を暖めて温度差をできるだけ少なくするのを忘れずに!

葉石かおりさん
エッセイスト・酒ジャーナリスト。日本大学文理学部独文学科卒業。全国の日本酒蔵、本格焼酎・泡盛蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。「酒と料理のペアリング」を核に講演、酒肴のレシピ提案も行う。2015年一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション設立。世界に通用する酒のプロ、サケ・エキスパートの育成に励み、各地で日本酒イベントをプロデュースする。

[日経Gooday 2017年12月20日付記事を再構成]

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著者 : 葉石 かおり
出版 : 日経BP社
価格 : 1,512円 (税込み)


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