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コーンブレッド、米建国の歴史映す 感謝祭の定番料理

コーンブレッドを美味と書き残したベンジャミン・フランクリン

フランクリンがいたニューイングランドと並び、南部諸州も米国では古い州が多い。それで南部もコーンブレッドゾーンになっているのだろう。

映画『グリーンマイル』にも、コーンブレッドが重要な小道具として登場している。看守ポールは自分に「奇跡」を起こしてくれた死刑囚ジョン・コーフィに、妻からのお礼と言って彼女手作りのコーンブレッドを差し入れる場面がある。その流れで強調されているのはやはりその香りだが、同時に、コーンブレッドは家族の愛情やぬくもりを象徴する存在として扱われている。

『グリーンマイル』の舞台となる地域ははっきりと示されていないが、撮影は南部で行われた場面が多い。そして原作者のスティーブン・キングはニューイングランドに属するメーン州の出身である。やはり、コーンブレッドゾーンの人々にとって、コーンブレッドの味と香りは人生と切り離せないものであるらしい。

いや、開拓者たちが向かった中西部でもコーンブレッドは愛されていた。何しろ、前述のマーク・トウェインはミズーリ州の人だ。また、かつてテレビドラマが放映されて日本にもファンが多い『大草原の小さな家』の原作者ローラ・インガルス・ワイルダーの著作にも、コーンブレッドが「おふくろの味」として登場する――インガルス家のお母さんがコーンブレッドを作る間に、ローラたちが食卓の準備をするというように。彼らが住んでいたのはウィスコンシン州。米国人の西漸運動の中で、コーンブレッドも西へ移動していったようだ。

コーンブレッドゾーンの人々、そして米国に点在するコーンブレッドファンにとって、これは「おふくろの味」であるのと同時に、米国の建国物語を想起させるアイテムでもあるようだ。

メイフラワー号でイギリスを離れて新大陸に上陸したピルグリム・ファーザーズたちは、入植当初、作物の栽培に失敗して非常な困難に見舞われた。その彼らに先住民たちが食料を差し入れて助けたと伝えられている。

米国最初のサンクスギビングはこんな感じだったのでは

そして、彼らピューリタンたちが最初に営農に成功して満足な収穫が得られた秋に、恩人たる先住民たちを招いてお礼とお祝いのパーティーをしたのがサンクスギビングデーの起源ということになっている。

そこにコーンブレッドが登場した。使われるトウモロコシは新大陸の穀物である一方、小麦粉は旧大陸の穀物である。この両方を半々に混ぜて食べること、しかもそれが美味であることは、愛国者たちにとって特別な意味を持つわけだ――先住者と渡来した人々の融和、友情の象徴として。

新大陸の穀物と旧大陸の穀物の両方を使う、ある意味「劇的」な食べ物

したがって、感謝祭にやはりコーンブレッドは必要だということになる。

なお、コーンブレッドを最もおいしく味わうには、もう一つ重要な特徴を覚えておく必要がある。コーンブレッドは焼きたてが最もおいしく、以後刻々と弾力と香りを失い、翌日以降は味が落ちる。愛情や友情を感じるための食べ物であれば、温かさも大切ということだろう。放ったらかしではいけない。

(香雪社 齋藤訓之)


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