竹内涼真、ヒット作続きファン拡大 「今年は名前も」
2017年、若手俳優の中でもヒット作に恵まれ、ファンを増やしたのが竹内涼真だ。映画、ドラマ、CMでの活躍で「存在を知ってもらえるようになったのは大きかった」と振り返る。飛躍をめざす今年は、「名前も浸透するように頑張りたい」と抱負を語ってくれた。
17年は4月公開の映画『帝一の國』が興行収入20億円に迫り、7月期連続ドラマ『過保護のカホコ』は平均視聴率11.5%と好調だった。陸上選手を演じた10月期の『陸王』(TBS系)は、平均視聴率16.0%、最終回の視聴率は20.5%を記録。若手の登竜門であるNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』にも出演し、主人公の恋の相手役として物語の中盤を盛り上げた。
14年に『仮面ライダードライブ』で主演して以降、『時をかける少女』や『青空エール』(共に16年)など、ドラマや映画で地道にキャリアを重ねてきた。その経験が花開いたのが17年だといえる。
「『帝一の國』は、菅田将暉君をはじめとする同世代で活躍する俳優さんと、一緒にお芝居ができるうれしさがありました。同時に、6人の中できちんと存在感を出さないといけないなと。大鷹弾という役は、少女マンガの相手役みたいな爽やかな人物で、それをそのままやってしまっては、周りの濃いキャラクターたちの中で立ち位置を確立するのは難しい。そう思ったので、作品が持つ高いテンションにずっとはのらないというか、違う温度でいることを心掛けました。
みんなめちゃくちゃ仲が良くて。映画のPRなどで、6人で活動するのもとにかく楽しかったです」
朝ドラにはまた挑戦したい
竹内の存在が広く知られるようになったのは、NHK朝ドラ『ひよっこ』が大きいだろう。みね子(有村架純)が住む「あかね荘」の住民の大学生・島谷純一郎役で、6月から7月下旬まで出演した。
「朝ドラに出ることは目標の1つだったので、うれしかったです。島谷は話す言葉も堅いし、落ち着いているんだけど、みね子ちゃんやあかね荘の人たちと出会って、少しずつ感情が出てくるんです。理詰めだった人が、最後は気持ちでしゃべるようになる感じ。徐々に人間らしさを出せるようにと意識して演じました。
朝ドラって、展開が速いじゃないですか。だから、気持ちの部分で追い付くのに最初は必死で。お別れのシーンもあっという間でした。今思えば、もっと僕の力があれば、短く感じさせないやり方もあったのかなって。数年後に、また挑戦させていただきたいです。今度は最後までいられる役で(笑)」
民放の連ドラでは、7月期の『過保護のカホコ』、10月期の『陸王』と、視聴率が好調な作品に立て続けに出演した。
「『過保護のカホコ』で演じた麦野初は、これまでにやったことのないタイプの役で、刺激的でした。脚本の遊川和彦さんの描くイメージに合わせて役をつかむのに、結構時間がかかりましたね。
遊川さんはとても素敵な方でした。作品に対して熱いこだわりがあって、毎日現場に来てアドバイスをくださるんですよ。よく言われたのは、『カッコつけないで』。麦野は生い立ちで苦労していて、キツイことを言う割には、臆病だったり弱い部分もあって。人間らしい感情の起伏を大事にしてほしいと言われて、難しかったです。カホコ役の高畑充希さんにもかなり助けていただきました。2人の間やテンポは、リハーサルを何回も重ねてできたものですし、表情やしぐさなど、セリフだけじゃない充希さんの現場での瞬発力は、毎回すごいなと感じていました。
『陸王』は走るのが大変でした。ずっと走っているならまだ楽なんですけど、いろいろな角度から撮影するために、300メートル走った後、スタート位置に戻ってまた撮るとか。疲労が体に響いた経験は初めてかもしれません。
スタッフさんは、15年に出演させてもらった『下町ロケット』と同じ、福澤組(演出の福澤克雄を中心とする制作陣)なんです。『下町~』のときは、福澤監督にお芝居を見てもらえたのはほんの少しだったんですけど、僕のことを覚えていてくださったのがうれしくて。期待に応えられるように、全力でぶつかりました」
『ひよっこ』も『陸王』もオーディションで勝ち取った役であり、今でも仕事は直接のオファーに限らないという。そんななか、9月には10年続くソフトバンクのCM「白戸家」シリーズに起用された。
「ずっと見てきたCMなので、初回の撮影では表情が硬くなるほど、久々に緊張しました。CMという性質上、15秒や30秒の短い時間の中で、みなさん、ドラマや映画を作る気持ちでやっているので、僕もしっかり表現していきたいです。
17年は、いろいろな仕事の積み重ねで、僕の存在を知ってもらえるようになったのは大きかったと思います。次は『この人の作品を見たい』と思ってもらえるようになるのが目標です。先日、街を歩いていたときに、おばあちゃん6人組に気付いてもらえたんですよ。ただ、名前は思い出してもらえなかった(笑)。18年は、名前も浸透するように頑張りたいです」
(ライター 内藤悦子)
[日経エンタテインメント! 2018年1月号の記事を再構成]
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