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「冬うつ」予防は年末年始から 医師が勧める4つの策

こちら「メンタル産業医」相談室(18)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

こんにちは、精神科医で産業医の奥田弘美です。冬将軍が支配する寒さ厳しい季節です。あなたの心と体はお元気でしょうか? 今回は、極寒の季節に心がけていただきたいセルフケアについてお話ししたいと思います。

冬はうつになりやすい?

最近、雑誌やウェブサイトなどで「冬うつ」という言葉を目にすることが増えました。「冬うつなんて病名、本当にあるの?」と怪しく思う方もいるでしょうが、これは医学的には季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder; SAD)と呼ばれている、うつ病のサブタイプの一つです。冬季うつ病 (Winter Depression)、季節性気分障害(Seasonal Depression)、季節性感情障害などとも呼ばれます。

秋から冬にかけて抑うつが始まり、春や夏になると治まるという特有のサイクルを繰り返します。このため「反復性冬季うつ病」と呼ばれることもあります。

症状としては、ほぼうつ病と同じで、「気分が落ち込む(特に午前中)」「気力や集中力が落ちる」「イライラや不安感がひどくなる」「物事を楽しめなくなる」「人と会いたくない」「性欲が落ちる」といった症状が出ます。食欲と睡眠に関しては、典型的なうつ病とは異なり、「炭水化物や甘い物が異様に欲しくなる」「いくら寝ても眠く、過眠傾向になる」といった症状が出やすいとされています。

これらの抑うつ症状が、2年以上続けて秋~冬に出現しており、春になると軽快する。かつ、季節以外の明らかな原因が見当たらない場合に、季節性情動障害(冬季うつ病)と診断されることになります(正確な診断は精神科・心療内科の専門医から受けてください)。

日照時間の減少が関係?

季節性情動障害の発症には、冬場の日照時間の減少が大きく関連していると考えられています。日照時間が減り、脳内のセロトニンの分泌が減ることで、気分の低下が起こったり、睡眠をつかさどるメラトニンの分泌がアンバランスになったりすることが原因と考えられていますが、まだ解明されていない部分も多い病気です。

治療としては、基本的な抗うつ剤などを用いた薬物療法とともに、日光浴をしっかり行うことが推奨され、場合によっては光照射療法(5000~1万ルクス程度の光を30分~1時間程度照射)が行われることもあります。典型的な季節性情動障害は、男性より女性に圧倒的に多いといわれています。

男女関係なく、ビジネスパーソンは注意を!

しかし、「男性だから」「冬だけ落ち込むという経験はないから」と安心してはいけません。私の産業医としての経験から、冬の極寒期は男女ともに働く人は体調を崩しやすく、それを契機にうつなどの心の病気も発症しやすい傾向があると感じています。

なぜかというと日本人の働く人の多くは、正月休みが入るために年末に仕事の日程が過密になりやすいうえ、忘年会シーズンも重なるために夜の付き合いも増えます。そのため正月前に睡眠不足や疲労をためる人が多いのです。

そうした疲労状態のまま、わずか1週間弱の冬休みに人混みを縫って帰省したり、久しぶりに会う家族や旧友と夜遅くまで飲酒したり、寒空の下で初詣に出かけたりすることで「睡眠不足」や「疲れ」をさらに重ねてしまいます。

年末年始の休みがもう少し長ければ、正月行事で乱れた生活リズムを戻し、疲労を回復する猶予が見込めるのですが、ごく一部を除き1月4日や5日が仕事初めという人がほとんどです。その結果、旧年の疲れを引きずったまま年始の仕事がスタートし、3月の決算期に向けて仕事がどんどん過密になっていく……というふうに、さらなる疲労を加速する流れに引き込まれてしまうのです。

疲労が蓄積しきった状態のところに、インフルエンザやノロウイルスの感染が重なって体調を大きく崩したり(肉体的ストレス)、取引先や仕事上でのトラブルで大きな精神的ストレスがかかったりしたときが非常に危険です。本来ならばストレスをはね返すことができる人でも、体力が落ちて過労状態になっているとストレス耐性が落ちてしまっています。

潜在的な過労状態にあるところに、肉体的または精神的ストレスがガツンとかかることを契機に、本格的に自律神経系バランスが崩れてしまい、不眠、胃腸障害(胃もたれ、腹痛、下痢、便秘)、めまい、食欲不振、ひどい倦怠(けんたい)感などが出現して、うつ状態に移行していくことが少なくありません(過労の怖さについては、第5回「「過労」はサイレントキラー 体力がある人ほど注意」もご覧ください)。

冬は健康な人でも疲れやすいワケ

そもそも12~2月の極寒期は、全ての人間にとって「寒さ」という環境ストレスがマックスにかかっている時期です。ただでさえ自律神経系は、外界の寒さに対して体温や血圧を一定に保つためにフル活動となり負担がかかっています。

また人間は本来、昼行性の動物であり、日中に活動して夜間に睡眠をとるという活動の概日リズムを有しています。人間の活動の概日リズムは、季節の影響を受けることが知られており、日照時間が長く、気温が高い夏季には睡眠時間が短くなり、その逆の冬季には夜間睡眠時間が延長する傾向があります[注1]。つまり12~2月の極寒期は、健康な人であっても環境ストレスのため疲れやすく、生体リズム的にも睡眠時間がよりしっかり必要となり、睡眠が不足すると通常以上に疲れもひどくなりやすいのです。これらを考慮すると、冬季は十分に睡眠と休息をとり、普段より「ゆったりめの活動モード」に本来は切り替えるべきだといえるでしょう。

[注1]白川修一郎ら. 日本人の季節による気分および行動の変化.精神保健研究. 1993;39:81-93.

冬うつ予防のための4つの工夫

しかしながら日本のビジネス界では、年末年始から3月の決算期にかけては「ゆったりモード」とは真逆で、「ガンガン活動モード」に拍車がかかっていくという社会構造となっています。そんな本来の生体リズムに反した過酷な環境のなかで、働く人が心身の調子を崩すことなく、元気に乗り切るためには「とにかく疲れをためない」という自覚と工夫が必要です。私が産業医としてこの時期によく行っているアドバイスをご紹介しますので、ぜひ役立ててください。

【1】睡眠負債をためない

冬場の睡眠不足は免疫を落とし、ウイルス感染や体調不良に直結します。最低でも6時間以上の睡眠を毎日確保しましょう。急ぎの仕事などで睡眠がどうしても不足してしまったら、できるだけ数日のうちに睡眠の借金を返すつもりで、しっかり睡眠をとりましょう。睡眠負債は早めに解消しないと、ため過ぎると返済できなくなり心身の不調を引き起こしてしまうので要注意です。

【2】バランスのとれた食事を実践する

疲労回復効果が高い肉、魚、卵といった動物性たんぱく質と、風邪予防効果の高いビタミン・ミネラル豊富な緑黄色野菜・果物などを1日最低2食はしっかり摂取しましょう。炭水化物もほどよくとらないと体温がスムーズに産生されません。冬場に過激で極端なダイエットは体力を消耗するのでご法度です。ダイエットをするなら極端にバランスの欠いた食事法や激し過ぎる運動で急激に体重を落とすことは避け、体やメンタルに負担がかからない安全で無理のない方法を選んでください。

【3】冬場の外出時には体力を温存する工夫を

年末年始や冬場の土日は、体力的に負担のかかる激しいレジャーや遠出は控えめに。もしスキーやマラソンなど体力を使うレジャーや、遠方への旅行や帰省をするときは、休日の最終日ギリギリまで使わずに1日(最低でも半日)は自宅でゆっくり過ごせるように調整し、体力回復日を設けましょう。

【4】日光浴をこまめに行う

屋内で仕事をしている人はただでさえ日照不足になりがちで、冬にはさらに日照不足が加速してしまいます。休憩時間には屋外や窓辺で日光をしっかり浴びて体内時計の乱れを予防しましょう。その際にストレッチを行うと全身の血の巡りがよくなり、さらに自律神経を整える効果が期待できます。今注目されているマインドフルネス瞑想もぜひストレッチとともに活用してみてください(詳しくは第17回「オフィス疲れに 簡単マインドフルネス・ストレッチ」をご覧ください)。

日本のビジネスパーソンの皆さまが極寒期もベストな体調と気力をキープして、新しい年もより実り多いご活躍をされますように、引き続き本連載でも応援させていただきたいと思います。

奥田弘美
 精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内20カ所の産業医として働く人を心と体の両面からサポートしている。著書には「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから」(扶桑社)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

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