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食の豆知識

茶わん蒸しがないすし屋なんて! だし効かせる名脇役

2017/12/13

煙が出るまで熱した油をじゃっとかける

ザ・和食といった顔の茶わん蒸しだが、実はこのように「おいしい水分と卵を合わせ、蒸して固める」という調理法は、世界中に存在する。タイの茶わん蒸しは「カトゥン」。韓国には「ケランチム」がある。フレンチやイタリアンでもカニやカキなどを具にした茶わん蒸しのような料理がある。

以前友達に教えてもらった、中国の家庭料理だという茶わん蒸しも面白い。だしではなく水。具もエビやギンナンではなく、豚のひき肉を使う。大きな丼にひき肉としょうゆを入れ、手でこねる。ひき肉がまとまったらそのまま丼のカーブに沿って薄く伸ばして貼り付ける。卵と水を「1:3」の割合で混ぜたものをそそぎいれ、蒸す。固まったら取り出してしょうゆをたらっとかけ回す。そのしょうゆをめがけ、煙が出るまで熱した油をじゃっとかけるのだ。当然キッチンは油だらけで大変なことになるが、茶わん蒸しが見事に中華料理になるから面白い。

茶わん蒸しが見事に中華料理になった

外で食べるのもいいが、茶わん蒸しこそぜひ家で作って欲しいと思う。「もっと食べたいのにこれっぽっちか」とか「せっかく上等なお店で食べてるんだから、ギンナンやユリ根くらい入れて欲しいな」などの不満が、自作なら簡単に解決するからだ。ギンナンだらけ、ユリ根だらけの茶わん蒸しを作るもよし。ラーメンどんぶりで作るもよし。誰にも叱られることはない。

だしを取るのが面倒なら、缶詰を使うという手もある。ホタテやカニの缶詰があれば、とても上等。アワビとウニを煮た「いちご煮」の缶詰があれば、極上のものができる。卵と水分の割合(1:3~4)だけ守っていれば、失敗することはない。蒸し器がなくたって、レンチンでいいのだ。

ギンナンを見つけると無条件にうれしい

「す」が入ってしまっても大丈夫。残っただしを片栗粉でとじて、あんかけにしてしまえばいい。最初から狙ったかのような、高級感が出る。あんにも具を入れれば「す」などまったくわからないだろう。

実は茶わん蒸しはだし巻きよりもずっと気軽に、簡単に作ることができる料理だ。ネットで検索すると、昨日の味噌汁や、カップ麺の残り汁などで気ままに茶わん蒸しを作っている人が簡単に見つかる。ぜひ心のハードルをぐっと下げてチャレンジしてみてほしい。

冒頭の友人はすぐ蒸し器を買いに走り、無事「茶わん蒸しもある店」としてオープンした。すし屋が目利きした上等な魚が具材として入る茶わん蒸しは異例のヒット商品となり、もっと食べたいというお客の要望に応えるうちに、ジャンボ茶わん蒸しまで開発したとのこと。寒さの厳しくなるこれからの季節、あつあつの茶わん蒸しはさらに人を呼んでくれるに違いない。私もそろそろ顔を出さなくてはな。

(食ライター じろまるいずみ)


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