同じ無料動画でも異なる個性 AbemaTV 対 GYAO!動画配信サービス最前線(中)

GYAOフロントエンドプロダクト本部長・間宮直樹さん

「複数の有料映像配信サービスを比較してみると、重複しているコンテンツが多数あります。ですから、基本的にGYAO!は『無料で見られるサービス』という点が強みと思っていただいていいと思っています」と言うのは、GYAOフロントエンドプロダクト本部長・間宮直樹さん。「無料であることだけをきっかけにして、意図的に課金サービスに導こうとは考えていません。ただ最新の映画など、話題性やニーズが高いにもかかわらず無料での展開が難しい作品などは、課金でもユーザー様に届けていきたいとは思っています」

無料であることはユーザーのみに利点があるわけではない。作品を提供するコンテンツホルダー(権利者)にとっても有利に働くことがある。「やはり無料なので、より多くの方に見ていただける環境をGYAO!は持っています。ですから、権利者が大きなプロモーションをやりたい場合に、活用いただいています。たとえば9月に人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』連載20周年を記念した過去の劇場版作品の無料配信を行いましたが、こういった展開ができるのも無料で展開しているが故の特徴だと思っております」

しかし、無料配信となると、AbemaTVとの競合とも考えられる。そこの部分の住み分けについてはどのように考えているのだろうか。

ヤフーとの連携も強み

井上真央主演のドラマ『明日の約束』(カンテレ・フジテレビ系列)。GYAO!では、本編につながる重要な物語を描く「チェインストーリー」を独占無料配信した (C)カンテレ

「もともと無料で展開しているサービスは少なく、実は社内でも競合の話がでると悩んだりします。『無料提供』という意味合いでいうと、AbemaTVさんがいらっしゃいます。とはいえ、24時間編成で配信されているAbemaTVさんと、VOD配信をしているGYAO!では違っている点も多々あると思っています。ユーザーのスタンスでいうと、『なにか面白いのがやっている』という受動的なものと、『この作品が見たい』という能動的なものの違いでしょうか」

ヤフーのグループ会社であることも強みのひとつだろう。「Yahoo!JAPANとの連携は広く行っております。たとえば検索結果の画面上に関連動画を掲載するケースもあります。また、Yahoo!JAPANのデータを活用したレコメンデーションなども強みのひとつです」と間宮さんは強調する。しかしながら、その膨大なデータを使い切れていない点にも触れ、「データをもっと理解し、ユーザーに沿った出し方をもっと磨き込んでいきたい」と明かす。今後、ヤフーの各サービスとの連携も強化していくとしており、さらなる発展が期待できる。

ライフスタイルにあわせて選ぶ時期に

以上、2回にわたり、4つの動画配信サービスを、それぞれの成り立ち、それぞれの独自性に注目して解説してきた。

高画質なオリジナル作品が見られる「Netflix」。ECサイト的に商品の垣根を超えたレコメンデーションを受けられる「Amazonプライム・ビデオ」。テレビ的に楽しめる「AbemaTV」。好きな時に無料で楽しめる「GYAO!」は「図書館的」とでもいえようか。それぞれの特徴が見えてきたのではないだろうか。

Amazonプライム・ビデオの取材後、広報から「もっと動画配信が生活の一部になるような盛り上がりになれば」と、自社サービスのみでなく、動画配信サービス全体が生活に密着していくことへの期待を語ってくれたのが印象的だった。自身のライフスタイルにあわせて選ぶことで、動画配信サービスは生活をより豊かにしてくれるのではないだろうか。

最終回は2018年、それぞれの動画配信サービスが力を入れるコンテンツを紹介する。そこからも4社の独自性が見えてくる。

特集 動画配信サービス最前線
(上) 「お気に入りの動画配信は? Netflix 対 Amazon」
(中) テレビ的手法で若者狙うAbemaTV、無料が強みのGYAO!
(下) 動画配信激戦、2018年も 独自番組さらに強化へ
関口裕子
エディター兼プランナー、ライター。『キネマ旬報』『VARIETY JAPAN』編集長を経て、リサーチからあらゆる「ものづくり」までを行う(株)アヴァンティ・プラスを設立。
河西隆之
エディター兼ライター。アヴァンティ・プラス所属。1978年東京都生まれ。デジタル業界、エンタテインメント業界等のリサーチ、執筆を手がける。共著に「映画の間取り」(扶桑社)。
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