就職先も違います。東海岸の大学の学生が有名投資銀行やコンサルティング会社、弁護士事務所などに入ってエリート街道を歩むのに対し、スタンフォードなど西海岸の大学の学生は起業志向が強い。

実際に滞在してみて、私には自由な雰囲気でベンチャー志向の強い西海岸のほうが性に合っていると思いました。ただ、その時はまだ起業する発想はありませんでした。スタンフォードと駒東に共通点があったのが、単純に面白いと思ったのです。

校風は自由だった。

東京都世田谷区にある駒場東邦中学・高校

日本はベンチャーが育ちにくい環境とよくいわれます。しかし、私は、人は誰でも大なり小なりベンチャー精神を持ち合わせていると考えています。ただ、多くの場合、学校教育の現場で先生たちが無意識のうちに、生徒の自由な発想を抑え込むような指導をしてしまったり、生徒のためを思って安定した職業を勧めたりしてしまうため、ベンチャー精神がそれ以上、育たないのではないでしょうか。

その点、駒東の先生たちは、生徒の自由な発想を最大限尊重し、人に迷惑をかけない限り、好きなことはどんどんやりなさいという姿勢でした。進学校はだいたいどこでも自由な校風を掲げますが、駒東の場合は、口先だけでなく、本当に自由でした。

例えば、私は古文が大好きで、特に源氏物語は高校時代に原文で全巻読破するほどハマりました。古文の授業中も先生の話はほとんど聞かず、いつも源氏物語を読んでいました。しかし、古文の先生はそんな私をとがめるどころか、それほど好きなら源氏物語を研究している東大の先生が書いた本を読んでみるよう、アドバイスしてくれたのです。

今の子供たちが大人になるころには、おそらく現在の仕事の半分はロボットと人工知能(AI)がこなしていることでしょう。その時、私たち一人ひとりや社会に求められるのは、自由な発想とその発想力を養う場です。駒東の教育方針はそういう時代に非常にマッチしているのではないかなと、OBの一人として思います。

(ライター 猪瀬聖)

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