高校時代はほとんど勉強しなかったので、大学では逆に真面目に勉強しようかなという気持ちもありました。SFCに関しては、授業の課題が大変だとか、みんな大学に泊まり込んで勉強しているとか、大学に入ったら遊びたいと考えている人にとっては嬉しくない情報ばかりでしたが、私はむしろ歓迎でした。

「自分たちにとっても周りにとっても面白い会社にすることを常に目指してきた」と語る

SFCでは環境情報学部に進み、ニューラルコンピューティング、今でいうAI(人工知能)を専攻しました。高校時代から続けていた学習塾の講師のアルバイトをする以外は、ほとんど大学にこもって自分の研究に没頭していました。

当時はちょうど、新型ブラウザーのモザイクが登場し、インターネットが黎明期を迎えた時期。次々と生まれる新しい技術やサービスをみながら、これはインターネットを使って何かやるなら早い方がいいかなと考え、会社を作ることを考え始めました。

カヤックの会社としてのビジョンや方針は、私が慶応高校の3年間を通じて育んだ価値観や考え方を反映していますが、事業の具体的な部分では、大学時代に学んだAIやコンピューターの知識が役立っています。創業当初は自分でプログラミングもやりました。今のAIが昔とどう違うのかもよく分かりますし、SFCに進んで正解だったと思います。

SFCを卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。2年後に独立し、高校・大学時代の友人と3人でカヤックを創業した。

会社は作ったものの、自分の中ではそれでひともうけしようという意識はあまりありませんでした。単に面白いそうだからやってみようという考えのほうがまさっていました。

例えば、最初に合資会社としてスタートした時も、資本金はたった3万3000円。その後も、数カ月ごとオフィスを国内の遠く離れた場所に移す「旅する支社」プロジェクトを始めたり、給料の額の一部をサイコロで決めたり、「面白法人」を名乗ったりと、自分たちにとっても周りにとっても面白い会社にすることを常に目指してきました。世間的には、大変非常識な会社だと思います。

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら