GPSウオッチ、主流は心拍計測 ランも健康管理も
特集 スポーツ&アウトドアをスマートに楽しむ最新アイテム 後編
ランニングやロードバイク、登山やトレッキングを趣味にしている人の中には、GPSウオッチを愛用している人も多いだろう。走行距離やルートなどを確認・記録できるため、いまやスポーツ&アウトドアを楽しむためは欠かせないアイテムとなっている。そんなGPSウオッチの現在の主流は「心拍計測機能付き」だ。今回は心拍計付きモデルの注目作を3つ紹介する。どれもシンプルなデザインなので、普段から装着することで健康管理にも役立つはずだ。
いつも装着し健康管理に役立てる人も
スポーツ用の心拍計測機器といえば、ひと昔前まで専用ベルトを直接胸に巻き付ける「心電式」がほとんどだった。その胸に巻く手間や装着時の不快感から、趣味レベルでスポーツを楽しむ人にとって身近なものではなかった。しかし、2~3年ほど前から、LEDライトを用いて血流量を読み取り、その変化を計測して心拍を測定する「光学式」が台頭。時計と一体となった心拍計付きGPSウオッチは、手軽に心拍数を計測できることから人気となった。
「心拍数というのは身体のバロメーターとしてはもっとも信頼できる数値のひとつです。光学式心拍計測機器の登場により、その心拍数を簡易的に見られることが、心拍計付きウオッチの最大のメリットです」(アメア スポーツ ジャパン スントマイスター 奥園洋喜氏)
奥園氏によると、トライアスロンやトレイルランニングなど環境変化が激しいスポーツの台頭も、心拍計付きウオッチの人気を後押ししているという。
「環境によってパフォーマンスが変わりやすいスポーツは、ペース管理できる指標が少ない。心拍数は身体にかかる負荷を数値化したものであり、心拍計測は環境に関係なくペース管理ができる指標のひとつとして人気が出ています。購入される方はランナーが一番多く、次いでトレイルランナーやトライアスリートなどエンデュランス競技者が多いと思われます」
また、スポーツ時以外にも、ライフログ用として日常生活の心拍数を計測し、健康管理に役立てている人も多いそうだ。
「構造上、肌から離れると計測できなくなるため、ゆるめに装着すると正確性が損なわれます。そのため装着時の注意点としては、肌と時計に隙間ができないよう、少しきつめに装着することがポイントです」(奥園氏)
手軽に心拍数を計測・確認でき、スポーツやアウトドアを充実させる心拍計付きGPSウオッチ。その注目作を3つ紹介する。
スント/スポーツだけでなく日常生活にも
アウトドアウオッチを中心に展開し、GPSウオッチブランドとして人気が高いSUUNTO(スント)。2017年8月に発売された本モデルは、従来の心拍計付きモデルよりもケース径が小さく、使いやすい点が魅力だ。
スントのGPSウオッチは、創業時に製造していたコンパスの直径50mmをイメージし、時計のケース径も50mmに統一していたが、このSPARTAN TRAINERで初めて直径46mmに変更。さらにベルトは全カラーシリコンベルトを採用することで、時計のヘッドは小さく、ベルトは柔らかく、腕の細い人にもフィットする仕様になっている。
心拍計には、医療や軍関係、消防等で使用される米バレンセル社の光学式心拍センサーを使用しており、正確に心拍数を計測できるのも特徴だ。
睡眠計測機能も付いており、身体の動きを加速度センサーが認識し、眠りについた時間や起きた時間を計測するだけでなく、睡眠時の最低心拍や眠りの深さまで計測。最低心拍(=安静時心拍)を見ることによって、睡眠がしっかりとれているか、体調の良しあしを確認できるという。
「スントが光学式心拍計測機器を発売したのは17年の3月末と発売から間もないにもかかわらず、現在スントが発売している時計の販売数ランキングベスト5は、すべて光学式心拍計測機能付きモデルが占めており、注目度の高さがうかがえます。スントのGPSウオッチ所有者の買い替え需要が非常に多く、このモデルはリーズナブルな価格なうえ、ケース径が小さいので、女性や腕の細い男性から支持を得ています」(奥園氏)
ガーミン/気圧高度計やコンパス機能も搭載
本格的なランナーやアスリートから支持されているガーミンのGPSウオッチ。今回は看板のひとつでもある人気スポーツウオッチ「ForeAthlete」シリーズの最新モデルを紹介する。
17年5月に発売された本モデルは、光学式心拍計を搭載。気圧高度計やコンパス機能も搭載しているため、トレイルランニングや登山にも対応する。
本体の特徴は、スポーツの妨げにならない49gという軽さ、42mmのケース径、そして長時間バッテリー駆動(時計モードで最大2週間/GPSモードでは最大21時間)を実現した。ウルトラマラソンやトライアスロンなど長時間の使用と体力が要求されるスポーツで真価を発揮する。
さらに、付属のRunning Dynamics Podを腰の中央部にベルトなどで装着することで、ピッチ、ストライド幅、接地時間バランス、上下動、上下動比などを計測可能。自分のフォームを把握するのに大いに役立つ。
また、簡単に交換できるQuickFitバンドを採用しており、スポーティーなシリコンバンドからクラシックなレザーバンド、ハイエンドなメタルバンドへ気分に合わせて簡単に付け替えられるのもうれしい。このほかBluetoothでスマホに接続すれば、音楽再生操作などさまざまな機能が使え、Wi-Fi接続によりクラウドデータを取得するためにWi-Fi接続も可能になっている。
「前モデル(FA920XTJ)と比較すると、発売から3カ月の出荷台数は約2倍と好調です。ウルトラマラソンやトライアスロンなど本格的にスポーツに取り組む層に支持されています。軽量、長時間バッテリー、トレーニング記録機能などが競技力アップを目指す人から高い評価を得ています」(ガーミンジャパン コンスーマーデビジョン 熊山康夫氏)
ポラール/トレーニングメニューを自動生成
1982年に世界初のワイヤレス式ハートレイトモニターを発売したポラール。リストバンド型の心拍計は、現在、世界中のトップアスリートからスポーツを楽しむ一般ユーザーまで愛用され、世界80カ国以上で販売されている。
この手首型心拍計の需要に合わせて、GPS内蔵型のランニングウオッチを開発。17年7月に、ケース裏に6LED光学式心拍計を搭載した本モデルを発売した。
心拍数計測については40年にわたる研究を行ってきたポラール。業界最高峰の心拍アルゴリズム、独自の6LED化した光学心拍ソリューションを搭載し、手首型光学式でも精度を高く維持できるように設計とテストを繰り返したという。
心拍計とGPSを併用することで、ペース、距離、高度、走力、有酸素能力などを記録でき、屋内でのランニングにおいても手首の動きからペースと距離を計測可能。
さらにデータを分析したコーチング機能を備えているのも特徴で、例えば「ランニングプログラム」機能では、レースの日程を登録すると今まで測定したトレーニングの実績や最近の運動量に基づいたトレーニングメニューを自動で生成してくれる。メニューの詳細は専用アプリからも確認できる。
また、24時間心拍計測や睡眠分析も可能で、活動量計として日常の健康管理にも活躍する。
「秋のランニングシーズン、売り上げは好調に推移しています。購買層は30~50代で、新6LED光学式により心拍数が正確に表示される点や、活動量計としてスポーツ時以外でも活用できる点が支持されています」(ポラール・エレクトロ・ジャパン マーケティング・マネージャー 齊藤陽一郎氏)
前編 スポーツにも出張にも シューズ収納付きバッグ3選
中編 アウトドアブランドのアパレルライン続々
後編 最新GPSウオッチ 心拍計測でランにも健康管理にも
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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