また、宿泊回数などに応じてポイントを付与し、特典が得られる「リワードプログラム」で、部屋のアップグレードや無料宿泊サービスなどに加えて、ユニークな体験プログラムを提供している。

マリオットは、さまざまな分野のトップが講演を行うTEDと16年から提携。アジアでは初めてのTEDサロンをここバンコクで開催した。また、米ユニバーサル・ミュージック・グループとも提携、グラミー賞にノミネートされた人気ロックバンド「イマジン・ドラゴンズ」を17年9月、バンコクに呼び、同ホテル内の特設会場で400人限定のライブを行った。どちらも、リワードプログラムのポイントを使って応募する顧客向け(一部、一般応募枠もあり)のサービスだ。

米国の人気バンド、イマジン・ドラゴンズの限定ライブも開催

宿泊施設としてだけでなく、タイの伝統・文化や他では得られない特別な体験の提供の場となっているこうしたホテルの登場が、アジアの誇る観光最先端都市バンコクにまた一つ、魅力を付け加えているように思えた。

ムエタイ体験や、タイシルクを知るミュージアムも

他にも、タイの伝統を実感できるユニークなアクティビティーは多く、リピーターにはおすすめだ。例えば今回、ホテルでムエタイジムの協力によるムエタイ体験に参加した。ムエタイを観戦したことはあっても、実際にミットをはめて取り組むというのはなかなかない機会だろう。筆者も生まれて初めて試してみたが、最後にはスパーリングらしきものまでやって、爽快そのもの。キックやパンチで思いきりストレス解消できる。バンコクには、こうした体験のできるムエタイジムが数多い。

初めてのムエタイ体験。見るのとやってみるのでは大違いだ

タイといえば美しいシルクのテキスタイルを思い浮かべる人も多いだろう。その代表的ブランドがジム・トンプソン。バンコクに本店を置き、スワンナプーム国際空港をはじめ、高級デパート内に数多くの支店がある。スカーフやネクタイ、小物雑貨などもあり、しゃれたお土産として重宝されている。

そんなタイ伝統のテキスタイルをより深く知ることができるのが、「ジムトンプソン・ハウス」(Jim Thompson's House)だ。

ジムトンプソン・ハウスの建物はタイの伝統建築様式だ
伝統的なタイシルクのテキスタイル制作の実演も

ブランドの創設者ジム・トンプソン氏は、元はアメリカの情報将校(いわゆるスパイ)で、タイに移住してからシルクに魅せられ、タイシルクを復興させた人物。1967年にマレーシアで謎の失踪を遂げる直前まで住んでいた家は、タイの伝統建築様式で、彼が収集したアユタヤの仏像などすばらしい古美術品がそのままに置かれている。自由見学ではなくガイドと一緒に25分間のツアーで回る形式。今までテキスタイル製品に触れることは多かったが、シルクの美しい発色や独特なセンスの原点を見た思いでたいへん興味深かった。

まだまだ、グルメもホテルも進化しそうなバンコク。2度目には、タイの伝統・文化にちょっと踏み込んだ旅が面白い。

館内にはジム・トンプソン氏が収集した仏像などが並ぶ
小野アムスデン道子
 世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。