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スマホ写真 レンズやセンサーよりソフトの開発競争に

西田宗千佳のデジタル未来図

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NIKKEI STYLE

いまや、もっとも身近なカメラはスマートフォン(スマホ)であり、スマホの価値はカメラが握っていると言っても過言ではない。2017年秋の新製品でも、各社の性能向上ポイントは「カメラ」になっている。スマホのカメラの進化は、レンズやセンサーといったデバイスと、ソフトの両方がセットになって進んできた。だが現在の進化を見ると明らかにソフトに比重が移りつつある。

画質向上はソフトで行う時代

17年9月末に発売された「iPhone 8シリーズ」と16年のiPhone 7シリーズの違いが、ソフトの重要性をもっとも良く表している。カメラの画素数やレンズの明るさといったカタログ上の仕様でいえば、iPhone 8とiPhone 7のカメラ機能に大きな差はない。だが実際に撮影できる写真のクオリティーは大きく異なる。特に暗いシーンにおいて、iPhone 8はiPhone 7に比べ、かなり良い写真が撮れる。

もちろん、iPhone 8はiPhone 7に比べ進化したセンサーを採用しており、その影響はある。しかしそれ以上にソフトが、画質向上に大きく寄与している。アップルはカメラを「ユーザーはシャッターを切るだけ」にしたいと思っている。シャッタースピードや明るさ、ピントといった技術的な部分はできる限り自動化し、デバイスとソフトの協力で「人が好ましいと思う、記憶の中の映像」に近い写真を作ろうとする。

センサーの機能にソフト処理を加えることで高画質化している例としては、ファーウェイの「P10」シリーズや「honor 9」シリーズなども挙げられる。同社は2つの背面カメラを使う「ダブルレンズ」構成にしているが、他社とは少し異なる使い方を指向している。iPhone 7 Plus/8 Plusをはじめ、他のスマホは広角と望遠といった「画角の違う」カメラを搭載しているが、ファーウェイは「高解像度モノクロ」と「カラー」の2種類を搭載している。モノクロは2000万画素、カラーは1200万画素のものを使い、両方の画像をソフトウエアが合成することによって、解像感と発色の両方を向上させようとしている。この例などは、そもそもソフトウエアの力がなければできない「高画質化」だ。

ユニークなアプリが製品の特徴に

高画質化だけでなく、利便性向上の観点からソフト処理を高度化する例も増えている。

ソニーモバイルのXperiaシリーズの最新モデル「Xperia XZ1」は、被写体の動きを予想してフォーカスを合わせ続ける「フォーカス連写」や、シャッターを切る前から写真を数コマ記録しておき、ベストショットを選んで残せる「先読み撮影」などの、失敗写真を防ぐ機能を搭載した。これらは、Xperia XZ1が搭載しているセンサー「Exmor RS for mobile」が複数の画像を保存できる撮影バッファを持っているために可能となる機能だが、その機能を使うためにはソフトが必要だ。特にXperia XZ1の場合には、先読み撮影に「笑顔検出」機能が付いており、良い写真を残しやすくなっている。

またXZ1にはカメラの機能をつかって、顔や人形などを「3D化」するアプリも搭載された。これは、デバイスの機能とはほとんど関係なく、純粋にソフト的な工夫といえる。スマホのカメラ機能が進化するということは、ソフト側の機能への依存度が高くなっていく、ということでもあり、いかに独自性のある「専用アプリ」を提供して差別化するかの競争になっていく、ということでもある。

「ボケ」も合成で再現、まだ不完全な部分も

最近スマホで増えてきた「ボケ入り写真」の撮影機能も、ソフトの関与する部分がきわめて大きく、実は「3D化」によく似ている。

iPhone 7 Plus/8 Plusでは「ポートレートモード」、モトローラの「Moto G5S Plus」では「フォーカスモードの変更」と呼ばれている機能では、手前にあるものにフォーカスをあわせ、奥を「ぼかす」ことで雰囲気のある写真を実現する。被写界深度の浅い、いわゆる「奥がボケた写真」は、ボディが薄く焦点距離を稼げないスマホが苦手とするものであり、一眼レフなどの本格的なカメラの方が有利である。

スマホでの「ボケ」は、2つ以上のカメラを搭載し、それぞれで同じシーンを別の被写界深度で撮影しておくことで、写真のデータに擬似的に「奥行き」の情報を付け加え、そこから計算をして生み出される、ある種の「合成写真」である。奥行きはあくまでも擬似的なものなので、判定ミスも多い。ただしく奥行きを推定できず、物体の周囲が不必要にボケてしまうことが多いし、切り抜いて貼り付けたような不自然さが残ることも多い。そこが現在の「ソフト的な処理」による限界だ。

だが一方で、撮影した写真の「加工」がしやすいことは大きな価値といえる。Moto G5S Plusはフォーカスの深さを調整して写真の「ボケ味」を変えたり、背景だけモノクロにしたりできる。iPhone 8 Plusでは、撮影時の「照明」を変えて写真の写りを変えられるようになった。この機能は、写真スタジオで撮影された大量の写真から学習した結果を使っている。それによって後処理ながら「そういう照明で撮った写真」のような効果を生み出す。

今後、スマホに搭載されるカメラの数はさらに増える、と予想されている。AR(拡張現実)向けの奥行き推定や顔認識など、写真撮影以外の用途が増えていくからだ。そうした機能が増えれば増えるほど、ソフトの力を使って「写真撮影のクオリティーを上げる」方法も増えることになる。

ますます、スマホのカメラの良さは「スペックだけ」では測りにくくなる。メーカーが示すサンプル写真や、レビュー記事などで撮影される写真、さらには実際にSNSにシェアされる写真の価値が高くなっていくだろう。スマホメーカーの評価も、「ソフト開発力」にかかってくる。

西田宗千佳
 フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。

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