イタリアではジャケットとパンツを専業とするファッションブランドが各地に点在している。一般にモダンな北部スタイルに対して南部はクラシックだと言われるが、ブランドごとに個性が明確なのもこの国の特徴だ。同じ色の素材を使っていても「風合い」や衣服の「表情」に違いが出る。ネイビー、グレー、ベージュ3系統の3つの色調を切り口に各ブランドの特徴を解説する。自分に合った1着を選ぶ際の参考にして欲しい。
ネイビー / 幅広い着まわし力を持ち、信頼&清潔感の演出に欠かせない
ビジネスに限らず、カジュアルな「ジャケパン」においても世界共通の定番色。トーンを抑えれば、一見派手な柄物も馴染ませやすい。
■ヴィンテージをモダンに着こなせる
BELVEST/ベルヴェストのチェック柄ダブルジャケット
’70年代のアーカイブに想を得た1着。ワイドラペルやアンゴラ混ウール地などヴィンテージ要素を現代的パターンに取り入れた。19万5000円(八木通商)
About Brand 1964年創業。メゾンのOEMを行なっていたこともある。美しい服という意味のブランド名の通り、エレガントな着姿が特徴。名作ジャケット・イン・ザ・ボックスも、立体感との両立こそがその真骨頂だ。
■軽快ダブルにクラシックの要素をプラス
STILE LATINO / アウティレ ラティーノのダブルジャケット・アンドレア
着丈の短いモダンなシルエットが特徴の「アンドレア」を金ボタンで別注。チェンジポケットでクラシックな気分も。22万円(ビームス ハウス 丸の内)
About Brand 2004年創業。ナポリの名門アットリーニ家の長男、ヴィンチェンツォ氏が設立。ナポリの熟練職人による手縫いといった伝統的な手法とは裏腹に、加工生地の採用など、新しさも積極的に取り入れている。
■鮮やかなネイビー地×白格子柄が洒脱
ISAIA/イザイアのダブルジャケット「カプリ」
アルパカ×ナイロン×スーパー120'sのウールのブークレを採用。重くなりがちな秋冬こそ明るい色味を。29万円(イザイア ナポリ 東京ミッドタウン)
About Brand 1957年創業。ナポリ屈指の老舗は、クラシコ・イタリアにおける生き字引的な存在。伝統的な手法を継承しながらも、モダンな要素をにじませることから、コンテンポラリートラディションと評される。
■柄で遊べる旬な九分丈パンツ
GTA/ジーティーアーの「バイロン」
ワンプリーツながらスリムなシルエットで、プリーツブームを作り出した「バイロン」。控えめな格子柄ゆえにオンオフ使いやすい。3万2000円(八木通商)
About Brand 1955年創業。パンツ専業ファクトリーとして始まり、1999年に自社ブランド設立。リブパンツやプリーツパンツなど、トレンドに先駆けたモデルは数知れず。コンフォート性の高い穿き心地にも定評あり。
■滑らかな生地でドレス感が高まる
INCOTEX/インコテックスの「30」
スーパー100’sウールによる、強いハリと上品な光沢が特徴。長めの持ち出しなど本質を求めた作りが随所に。3万4500円(スローウェアジャパン)
About Brand 1951年創業。伊パンツ専業ブランドの中でも、屈指の実力派。体型補整効果のあるパターンをいくつも開発し、メンズパンツに美脚という意識を生み出した。ドレスに加え、カジュアルラインも充実する。
■人気作に腰回りや股上にゆとりを加味
JACOB COHEN/ヤコブ コーエンの「J666」
美しいシルエットの名作「J622」の美点はそのままに、9分丈のキャロットシルエットへと改良した今季の新作。3万9000円(ヤコブ コーエン GINZA SIX)
About Brand 1985年創業。テーラードジーンズという概念を生み出した、イタリアンデニムの代表的存在。立体裁断とアイロンワークによって、ドレスパンツさながらの美しいシルエットを描くデニムが代名詞。