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その手があったか! 自由自在、欧州流の和食器利用法

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日経トレンディネット

欧州の家庭やレストラン、ティーサロンでは、ずいぶん前から和食器が使われている。「洋食には洋食器、和食には和食器」と料理で使い分けているわけではなく、テーブルの上は和洋折衷。ご飯茶わんをミルクボウルに使ったり、大皿の上に小ぶりな皿を重ねたりと自由な感覚で和食器を使いこなしている。そんな欧州人による和洋折衷は日本人にとって驚くことがたくさんあり、ときには斬新でまねをしたくなるほど美しいこともある。

和食器メーカーに日本人の姿なし

2017年9月8~12日まで、欧州最大級のデザイン・インテリアの見本市「メゾン・エ・オブジェ」がパリ郊外ヴィルパント見本市会場で開催された。これは「インテリアのパリコレ」とも言われ、世界各国から最新のデザインが集結するイベントだ。ここに、私たちになじみ深い和食器を扱う欧州の会社が数社出展した。

ベルギー・アントウェルペン郊外のJapan design (ジャパン・デザイン)、スイス・ ジュネーブのSofia diffusion japan lifestyle (ソフィア・ディフュージョン・ジャパン・スタイル)、オランダ・アムステルダムのTokyo design studio (トウキョウ・デザイン・スタジオ)の3社がそれで、これらの会社は創立30年以上になるという。ちなみに、和食器をメインに扱う日本の企業はこの見本市では見当たらず、この3社にも日本人の姿はなかった。

彼らが扱っている和食器の多くは、日本人にとって特に目新しいものではない。駅前商店街の食器店や100円ショップに並んでいるかもしれないと思わせるものもある。それでも3社のブースには欧州各国のユーザーが多数集まり、次々とオーダーしていく。

現在欧州は日本食ブームなのかと言うと、そういうこともない。焼き鳥やすしなどから始まった静かな日本食ブームが20年ほど前からあるが、今回の見本市で和食器の需要に比例するほど、欧州人が日本食を普段から食べているかと聞かれれば、答えは「ノー」である。

では、なぜこんなにも日本の食器の需要があるのか。彼らには私たち日本人が持つ「この和食器はこう使うもの」という固定観念がなく、「そんな使い方をしては行儀が悪い」というしつけもされていないので、私たち日本人とは驚くほど違った方法で、本来の用途に関係なく、洋食器を使うように和食器を使っているからなのだ。

湯飲みをビールマグやペン立てに

日本の食器にはそれぞれ役割がある。ご飯、お茶、魚料理、煮物、しょうゆ、丼物、取り皿など。けれど欧州ではそこまでこまかく役割を決められた皿はあまり存在しない。多くの皿が自由でフレキシブルに使われている。

また、日本では家族一人ひとりに専用の食器がある。茶わん、湯飲み茶わん、箸もだ。それはとてもパーソナルなもので、その茶わんからはおのおのの顔が浮かぶ。しかし欧州は普通、同じ種類の皿やカップがそろいで最低6組から食器棚に並び、みんなが自由に使い、それらを分かち合う。

そうやって彼らは食器を共有するのと同様に、和食器を自分たちの概念で使用しているのだ。だから欧州では、和食器は和食を食べるためではなく、和食器の形や色、素材、柄の美しさで購入されているのである。

例えば、ご飯茶わんを彼らはどう使うか。カフェオレボウルや朝食でクッキーを浸して食べるミルクボウル、アペリティフのディップソースを入れる皿として、また、カニやエビなどを食べるときのフィンガーボウルとして使っている。すし店で出されるような大きな湯飲みは、ビールマグになったり、ある家ではペン立てや歯ブラシ立てになったりしている。

日本ではタブーとされる皿使いなど知るよしもないので、「皿の上に皿」「皿の上に茶わん」と、日本ではあまりしない皿重ねを日常的にする。特にパーティーの席では上にある小皿やボールでまず前菜やスープを食し、それが終われば、下の大皿で主菜を食すと、順に食べることが多いのだが、それを和食器でするとエキゾチックなテーブルになり、パーティーの話題のひとつにもなる。特に招待し合うことが好きなフランス人たちにとってテーブルアートはこだわりたいもののひとつで、小粋なパーティーの演出にも和食器はぴったりなのだ。レストランでも同様に使われることがある。

煮物鉢にクロワッサンをのせ、その横にホットミルクの入ったカップを置いて朝食をとっている子供がいても、漆器の赤いわんに入れたガスパチョスープを食べ終え、パンでおわんの周りにかすかについているガスパチョスープの残りを拭うようにして食べる紳士がいても、ここは欧州なのである。

急須や湯飲みが人気上昇中

「リトルコスモス(小さな世界)ではありますが、和食器を好む人々は必ずいて、その範囲は欧州各国に広がっています」と話すのは、ジャパン・デザイン社のベルナール・ジェウエンズ社長。ジャパン・デザイン社は日本の急須と湯飲みをメインに扱うベルギーの会社で、創立35年になる。四半世紀以上絶え間なく営業されているということは、彼の言うリトルコスモスは案外大きいのだろう。クライアントは自国のベルギーが半分で、そのほかにフランスをはじめ、ドイツ、イギリス、イタリア、スペインなどだという。「フランスと日本は繊細な感覚が似ていますね」とベルナール氏。

「ひと昔前は漆器や塗り物が人気でしたが、最近はお茶まわりのものが人気で一番売れます」とベルナール氏。ちなみにこのジャパン・デザイン社が現在主に扱っているのは、1604年に創立されて現在15代目の経営になる鉄瓶の「わずく」、常滑焼、日本各地から集めた「たち吉」をはじめとする焼き物である。

確かに近年は、バラエティーに富んだお茶を販売する専門店が増え、老舗の「マリアージュフレール」や「ダマン」をはじめ、最近人気の「クスミ ティ」などが欧州で人気を集めている。それらのお茶の専門店では日本茶(緑茶、ほうじ茶、玄米茶など)もあり、緑茶の玉露などは最も高級なお茶として扱われている。日本の湯飲みや急須、茶筒も、美術品のように美しく棚に並べられて販売されている。

しかし、欧州で「日本のお茶」や「日本のお茶の雰囲気」が流行しているわけではなく、日本の急須や湯飲みで紅茶やハーブティー、フレーバーティーを、楽しむ欧州人が多い。

ベルナール氏に欧州と日本の使い方の違いについて聞くと「例えば急須。欧州では1リットル半サイズの大きなものが一番売れますね。日本人はそれよりずっと小さいものを使うでしょう」。確かに、ここに展示されている大きな急須は、日本では町の集会所くらいでしか見たことがない。

「この鉄瓶の内側を見てください」と、ベルナール氏。のぞき込むとそこには黒光りするエナメル加工がされていた。「日本では鉄瓶から出る鉄分が健康に良いといわれるそうですが、こちらではお茶に移りそうな匂いのほうが気になるのです」(ベルナール氏)

ジャパン・デザイン社では、日本のメーカーにコラボのような形で、こちらの要求を話すこともあるという。

欧州人が作り出す新しい和洋折衷のテーブルが今後どのようなものになっていくのか、日本人には予測ができないだけに楽しみだ。

(文・写真 永末アコ)

[日経トレンディネット 2017年9月21日付の記事を再構成]

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