津田大介、eスポーツに興味津々 世界で花開く3要素

「eスポーツやゲームは、将来のメディアの可能性を私たちに示しています。それはインタラクティブなメディアです。マインクラフトのようなゲームなら自分自身のコンテンツを簡単に作ることができます。彼らが作ったものはインターネットを通じてほかの消費者が簡単に見ることができる。プロフェッショナルのレイヤーには、さらにライブイベントもあります。ビューイング、クリエーション、インタラクティブ――このエンタテインメントのフルパッケージは、他のメディアが太刀打ちできるものではありません。若い世代にとって、eスポーツやゲームはメディアのあるべき姿だ、ということになるでしょう」

NEWZOOのCEO兼共同創業者Peter Warman氏

プレーを録画して配信するという機能がゲームに組み込まれたことで、ゲームをプレーすることがコンテンツになった。うまいプレーを名人芸として見せる「eスポーツ」や、エンタメとしてゲームを楽しませる「ゲーム実況」が成立するようになったのだ。さらに、それを見ている人がソーシャルメディアなどを通じて横方向でもつながって、コミュニティーが出来上がっていく。それこそがWarman氏の言う「エコシステム」なのだと思う。

これと同じ構図は、インターネットの普及に伴い、音楽やテレビなどの世界でも生まれているが、ゲーム業界は、この仕組みをかなり意識的に取り込んだ印象がある。芸術、娯楽としては後発のゲームだからこそ、柔軟に対応できたということなのだろう。その結果として、現在のeスポーツの世界的な盛り上がりが生まれたというわけだ。

eスポーツとオリンピック、異なる2つの意見

基調講演の質疑応答で気になったトピックについても、Warman氏に尋ねてみた。「eスポーツが認知されていったら、いずれリアルなスポーツの大会のようにオリンピックに組み込まれるのではないか」というテーマだ。しかし、eスポーツのオリンピック参加について、パネリストたちは意外にも消極的のように見えた。それはなぜなのだろう。

「ビジネスピープルはオリンピック参加について100%積極的です。eスポーツの信頼感を高め、スポンサー企業を見つけやすくなりますからね。一方、ゲーマーの側からすると、オリンピックは商業主義すぎるという見方をしていて、自分たちの世界ではないと感じるのです。ビジネスピープルとゲーマー双方の好みがバランスするところが見つかれば理想的ですが、それは難しいかもしれません」

eスポーツだけの世界的なオリンピックが開かれて、それが実際のオリンピックと1年ずれて4年ごとに開催されても面白いと思ったのだが、どうだろう。

「おそらく、その通りですね。特に最初はそのほうがより良いフォーマットです。それでうまくいくかどうか、eスポーツとオリンピックがどう一緒に機能するかを見てみる。とてもいいアイデアだと思います」

今回は東京ゲームショウ2017を取材し、eスポーツが海外でブレークした理由を探った。ゲームを取り巻く世界の変化を象徴する、その最先端がeスポーツなのだと強く感じた。次回は日本国内のeスポーツの状況について、eスポーツのプロフェッショナルチームであるDeToNator代表の江尻勝氏に話を聞く。そこから日本におけるeスポーツの問題と未来が見えてきた。[記事「津田大介 eスポーツ、飛躍の鍵は『成功の逆輸入』」参照]

津田大介
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年東京都生まれ。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。

(編集協力 島田恵寿=コンテクスト、写真 吉村永)

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