スーツにリュック!? でも印象は崩さず大人の着こなし
「ヌニェス 1920」オーナー、ジュゼッペ・ヌニェスさん
ビジネスウエアをカジュアルに着こなす風潮が日本でも広がっています。ただ、着方やコーディネートを工夫しなければ、だらしない印象を与えかねません。肩の力を抜いて着崩しながら格好良く見せるには何が必要なのか。南イタリアで最も注目されているセレクトショップの1つ「ヌニェス 1920」のオーナー、ジュゼッペ・ヌニェスさんに、大人の着こなし術を学びました。
着くずしと小物足しで、シンプルウエアを華やかに
南イタリアで、今もっとも注目されるセレクトショップ「ヌニェス 1920」の3代目オーナー、ジュゼッペ・ヌニェスさん(以下、愛称ベッペさん)。
サルト(仕立て職人)だった祖父のアトリエを、父親と叔父が高級セレクトショップとして拡大。3代目として世界中に顧客をもつショップへと、さらに成長させています。毎年地元でおこなわれるサンジュゼッペ祭の日に、祖父がプレゼントしてくれるスーツが楽しみでたまらなかったというベッペさん。
「4歳のとき、ブルーのダブルの金ボタンスーツを贈られ最高にうれしかったことを覚えています。子供のことから一人前にエレガントな装いをすることが好きでしたね」(ベッペさん)。シンプルなのに華やかでこなれている、ベッペさんのお洒落は幼少期からはじまっています。
スーツにバックパック! 鮮度の高い着こなしに注目
フットワークの軽い、それでいて決してくずれた印象を与えないコーディネイトが得意。ビジネススタイルにバックパックは、その好例です。
コットンスーツにチェックシャツ、抜けのある素材や柄だからこそ、スポーティな小物もハマります。バランスが秀逸です。コットンスーツはカルーゾ、シャツ&ネクタイはトム フォード、シューズはチャーチです。
他にも、ベッペさんの着こなし2スタイルと、クローゼットのアイテムをご紹介します!!
◇ネイビージャケットでもこんなに遊べる
ベッペさんの生まれ育った、トラーニという街での撮影取材。「街でベッペさんを知らない人はいない」というくらいの有名人なので、集まってきた知人たちで人だかりが…。撮影が一時中断してしまうというハプニングもありました。旧市街を巡りながら、カジュアルスタイルとスポーティスタイルをネイビーのジャケットを主役に見せてくれました。
◇旬のダブルはボタンのあしらいで、色気を足す
スーツは、華やかさとたくましさを演出できるダブルブレスト、そしてコンサバなネイビーのものがほとんどというベッペさん。あえて、いちばん下のボタンだけ留めて真面目なスタイルに、さらりと色気を足すテクニックはさすがです。
◇ネイビーベースのコンサバ服の宝庫
旧市街から車で10分ほど、一族が所有していた広大な土地に自宅を構えているベッペさん。ウォークインクローゼットはショップのディスプレイさながら。「毎朝この部屋で洋服をコーディネイトするのが楽しみなんです」。アクセサリー類の収納法も必見です。
仕事とオフ、お気に入りの装いを見せてもらいました
【STYLE 1】 休日の紺ジャケスタイルはTシャツ&スニーカーでラフに
オフの日は、カジュアルなジャケパンスタイルがほとんど。「白Tシャツにスニーカーというラフな合わせは、ストールや帽子などのアイテムを足して、華やかに」(ベッペさん)。
クラシックなブランドのアイテムもありますが、重さを微塵も感じさせない。さすがの着こなしです。ジャケットはボリオリ、Tシャツはザノーネ、パンツはPT01、スカーフはヴァレンティノ、帽子はボルサリーノ、靴はコモンプロジェクト。
【STYLE 2】 同系色ストライプなら品よくスポーティに決まる
ホワイトパンツは、夏場だけでなく年間を通して出番の多いアイテム。ネイビーのストライプ柄ジャケットと白シャツを合わせて、南イタリアの空に映える清々しい雰囲気に。
「同系色のストライプ柄なら、艶っぽくなりすぎず上品。コーディネイトのアクセントに」(ベッペさん)。ジャケットはラルディーニ、シャツはバルバ、パンツはインコテックス、靴はグッチ、バッグはオルチアーニ、サングラスはモスコットです。
【STYLE 3】正統派なスーツは靴で今どきに仕上げる
「仕事柄フォーマルな会食やイベントに出席する機会が多いので、ネイビーのスーツは欠かせません」(ベッペさん)。
シンプル&シックな着こなしは、イタリア映画のワンシーンのよう。少しぽってりした靴を合わせて、コンサバなスーツに旬のエッセンスを取り入れています。スーツはカルーゾ、シャツはヌニェス1920、靴はオーダーメイドです。
【STYLE 4】アンタイドでもオーラを放つカルーゾのスーツ
シーンに合わせて、ドレスアップもドレスダウンも可能なネイビーのスーツ。
「最高級の美しいフォルムのスーツなら、アンタイドでもシックかつエレガントに着こなせますよ」(ベッペさん)。極薄のライトグレイのリネンロングコートを合わせて、若々しい印象に仕上げています。スーツはカルーゾ、コートはイーヴォ、シャツはヌニェス1920、靴はプラダ。
クローゼットはハイセンスのスーツや小物が目を引きます
【ITEM 1】 シャツは白と水色で清潔感を優先します
フレッシュな清潔感を感じさせる、白と水色系のシャツがほとんど。「自分のブランドであるヌニェス1920以外にも、バルバやボレッリでオーダーメイドすることも多いですよ」(ベッペさん)。カジュアルスタイルには、デニム地のシャツを合わせるのも最近のお気に入りだとか。
【ITEM 2】 ジャケットに合わせてブルーの濃淡を決める
好きなパンツブランドは、PT01とインコテックス。「カラーは圧倒的にブルー系が多く、比較的濃い色のほうが自分に似合うと思っています」(ベッペさん)。スーツと同様、微妙に色の濃淡が違うパンツを何本ももっているので、ジャケットとの相性を吟味してチョイスします。
【ITEM 3】 TPOのメリハリは靴で効かせます
クラシック系ならチャーチやオールデン、モード系ならプラダ、スニーカーならコモンプロジェクトとブランドを使い分け。
「同じ服でもTPOに合わせてシューズを変えるだけで、まったく違ったテイストを楽しめるのも、ファッションの面白いところだよね」(ベッペさん)。
【ITEM 4】大人の万能ニットはハイゲージタートルの紺
カシミアのニットなら、ブルネロクチネリ、ザノーネなどのブランドが気に入っているそう。「パンツ同様にカラーは、ほとんどブルー系。いちばん好きなのは、ハイゲージのタートルネック。一枚で着てもジャケットに合わせても、薄手なのでスマートに着こなせます」(ベッペさん)。
【ITEM 5】スーツとジャケットはイタリア製に限ります
「ジャケットもスーツもキトン、タリアトーレ、カルーゾ、ラルディーニなどの自国サルトリアブランドを愛用。体にフィットする着心地のよさでは、made in italyの右に出るものはありません」(ベッペさん)。こちらもやはり、大好きなブルー系が大半を占めます。
【ITEM 6】エレガントな小物でシンプルウエアに華を
「カフスはオーダーメイド。時計は特に、ジャガー・ルクルトが好きです。時計ケースもオーダーメイドなんですよ」(ベッペさん)。クラシックかつエレガントな小物は、ベッペさんの真骨頂。
Photograph/Massi Ninni Composition & Text/Minako Shimada Edit/Yumi Matsubara
[MEN'S CLUB 2017年 9月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。