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座ったままでOK 午後の仕事がはかどる戦略的睡眠

日経ウーマンオンライン

2017/9/19

脳の情報は、目を閉じることで整理されるのです(イラスト:森のくじら)
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「疲れたから」眠るのではなく、「日々のパフォーマンスを上げるために」眠る――。仕事の生産性を高めるための睡眠術を作業療法士の菅原洋平さんにお聞きしました。

■眠気だけを取る「戦略的仮眠」で、午後もフルパワーで動ける

睡眠の質・量ともに十分な人でも、起床後8時間後(朝6時起きの人なら午後2時)と、22時間後(朝6時起きの人なら明け方の4時)は、生体リズムで眠くなります。

明け方4時は、多くの人が眠っている時間帯なので問題ありませんが、午後2時は仕事中の人がほとんど。眠気をコントロールする方法はあるのでしょうか。

「戦略的に仮眠を取ることをお勧めします。これは不足している睡眠を補う目的ではなく、午後の集中力をキープするためのもの。そのためには4つのルールがあります」(菅原さん)

■ルール1:眠くなる前に眠る

「6時起床の人は午後2時頃に睡魔に襲われますが、その後は脳の覚醒が高まり眠気はなくなっていきます。眠気のピークで仮眠を取ってしまうと、これから脳が覚醒していくリズムを食いつぶしてしまい、仮眠から起きたときに眠気を引きずってぼーっとすることに。6時起床の人ならランチタイムの12時くらいに、眠気を感じる前に仮眠を取ることがポイントです」

■ルール2:仮眠時間は30分まで

「30分以上寝ると、ノンレム睡眠の深い段階である除波睡眠に入ってしまい、夜間の睡眠で深い眠りになりにくくなります。仮眠ではノンレム睡眠段階の「1」くらいにとどめたいところ。たとえ5分程度の仮眠でもすっきりした感覚が得られます。視覚を遮断すれば脳を休めることができるので、眠れなくても目を閉じるだけでもOKです」

■ルール3:座ったままの姿勢で

「重力に対して垂直の姿勢で仮眠を取れば睡眠段階「2」までしか進まず、深く眠ってしまうことはありません」

夜など、通常時の眠りの深さのサイクルがこちら。地面に垂直の姿勢で仮眠を取ると、睡眠の深さはこの図の2のレベルまでしかいきません

「座ったままの姿勢で仮眠を取りましょう。ネックピローを使うと快適です。ただし、極端な睡眠不足が続いていると、垂直姿勢でも深い睡眠に入ってしまいます」

■ルール4:起きる時間を3回唱えてから眠る

「眠る前に起きる時間を3回頭の中で唱える自己覚醒法という方法があります。『15分後に起きる』と唱えれば、その1分前から心拍数が上がり、覚醒に向けて体が準備をします。これは科学的にも証明されていること。この自己覚醒法は、練習するほどに上達します」

デスクで仮眠を取ることが難しい職場環境の人は、トイレの中やランチタイムにメニューをオーダーして待っている間の数分間に目を閉じるだけでも仮眠になるそうです。周りの音が耳障りでも、視覚を遮断できていれば脳波を変化させることが可能です。

「隙間時間にスマホを見たり本を読んだりすることは、一見効率化につながるように思えますが、脳は情報を仕入れるばかりでは処理が追いつかず、せっかくインプットした情報が生きません。脳の情報は、目を閉じることで整理されるので、空き容量をつくる作業も大切です」

■卵胞期を睡眠強化週間にすると、PMSがラクになる

生理前の黄体期には、イライラしたり、情緒不安定になったり、むくんだりといったPMS(月経前症候群)に悩まされる人も多いのでは? 実はこうしたPMSの症状も、睡眠と深く関わっているそうです。

排卵から月経までの黄体期は、黄体細胞を作るために体温を上昇させるので、深部体温が下がりにくい時期。睡眠時に深部体温が下がりにくく、深い睡眠が得られず、朝すっきりしなかったり、昼間眠くなったりということが起きるそうです。

逆に、月経から排卵までの卵胞期は体温がストンと下がるので、ぐっすり眠れる時期。調子がいいこの時期の過ごし方で、PMSに悩まされる人と悩まされない人がはっきり分かれると菅原さんは言います。

「黄体期に不調で動けないと、体の調子がいい卵胞期に挽回しようと残業をしたり、夜に家事を頑張ったりと、睡眠を削りがちですが、実はこれは逆効果。卵胞期に無理をすると、次の黄体期のPMSが余計につらくなります」

「体の調子がいい卵胞期こそ、睡眠を整えるチャンスと捉え、睡眠強化週間にしましょう。体調のいい時期によく眠ることで、自然と黄体期の体調も整って、PMSの多くは改善されていきます」

■間食は睡眠リズムを乱す? 10時間の絶食で眠りのリズムが整う

「光」と「体温」が睡眠リズムを決めますが、この2つほど影響は大きくないものの、「食事」も睡眠のリズムを決める要素だそうです。

「体は絶食状態になってから次に食事を取ったときを、1日のスタートと判断します。6時起床の人なら、理想は20時までに夕飯を済ませて10時間の絶食状態をつくること。ところが、仕事に追われて昼に食べ損ねて夕方ごろにやっと食べ物にありつけ、遅い時間に夜ご飯をしっかり食べて寝る、ということをすると、朝から夕方までの絶食が最も長くなり、スタート時間を体が認識できず、体内時計がずれてしまいます。ランチがどうしても遅くなってしまう人は、遅いなりに食事の時間を固定することが大切。休日も同じ時間に食事を取るようにします」

また、残業のときは、分食がお勧めだそうです。血糖値の上げ下げの幅が少ないGI値の低い食品を残業前に少し食べ、帰宅後は主食を取らず、おかずなど糖質の低い食べ物を少量食べるのがポイントです。

「小さなおにぎりを残業前にドロドロになるまでかんで食べると、少量でも満腹感が得られます。夜中におなかがすいて眠れないときにもお勧めです」

睡眠の取り方次第で、仕事の効率を高めたり、女性特有の健康トラブルを改善することもできるのです。

(ライター 中島夕子)

この人に聞きました

菅原洋平さん
作業療法士。民間病院の精神科勤務後、国立病院機構で脳のリハビリテーションに従事。現在、東京・千代田区のベスリクリニックで睡眠外来を担当。「アクティブスリープ指導士養成講座」を主宰している。

[nikkei WOMAN Online 2017年8月25日付記事を再構成]

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