そら豆の皮は食べる、食べない? さやごと蒸し焼きに
枝豆そら豆お豆さん(2)
お豆さんである。たくさんのメールをいただいて感謝にたえない。ありが豆(とう)。
まずは花豆。
花豆はベニバナインゲンの実。白いのは白花豆。赤紫に黒い斑点があるのを紫花豆という。下の写真がそうである。国内の豆類では最大。主に煮豆用だが、白花豆は甘納豆にも。以上、「食材図典」から。
この「花豆」は標高800メートル以上でないと採れません。標高の低い場所では花は咲くのですが実がなりません、名前の由来か。
まだ豆を収穫する前の6-8月ごろ採って食べるのが「軽井沢いんげん」。普通のキヌサヤと比べれば3-4倍の大きさです。食べ方も煮物に入れたりキヌサヤと同じように料理して食べます。信州ではスーパーなどでも売られています。
「あおばつ」。当地では「青豆」をそう呼びます。大豆と同じ大きさで、ゆでると枝豆のように見えます。正月ごろゆでてしょうゆをかけてぽつぽつ食べれば止まりません(yumekoboさん)
ただ、いま大人の味覚になってみると、それなりにおいしかったのではと思い直し始めています。東京ではいまだ見たことがありません(東京都 亨さん)
紫花豆が入ったご飯であったようである。寮のお母さんは「さあ、季節ものですよ。たんと召し上がれ」というような気持ちで出してくれたのかもしれない。ピースご飯でも同じようなことがある。
もちろん自分でも炊きますが、雑談でそんな話題を持ち出して「ああ、もうそんな時期かぁ!?」な反応を見せるのはたいてい西日本出身者です。東日本出身者は「何それ?」な反応。これはもう! VOTEの対象になりませんか?
ちなみに大家さんは新潟出身ですが、料理の修行は関西の方に師事したそうです(中林20系中林52さん)
豆を入れたご飯を炊く文化。赤飯は全国にあり、場所によっては不祝儀のときに黒豆ご飯を炊く。ただ年中行事や宗教行事とは別に「旬のもの」として豆ご飯を食べる地域はどこか。西日本の豆(グリーンピース)ご飯と信州の花豆ご飯はその存在が明らかだが、ほかの地域ではどうであろうか。
節分は大豆を炒ったの、ぜんざい・赤飯は小豆です。うずら豆を甘く炊いたのが食卓にたまに登場します(広島県 うえぽんさん)
「ぶんどう豆」は緑豆のこと。広島県で盛んに栽培されているらしい。西日本もグリーンピース一色でないことがこれで判明した。
豆は同じでも時代、場所、人によって食べ方が違う。
枝豆のさやの両端を少しはさみで切り落とし、その後、しょうゆで煮るというもの。しょうゆのみ。みりんや砂糖の添加はダメ。たっぷりしょうゆを含んださや付き枝豆を箸でつまんで口元へ。前歯で豆だけ口に放り込み、さやはポイッ。
保存食の意味もあったのでしょうが、手間ひまかけてしょうゆも使いぜいたくな食べ方なのでいつも食べられたわけではないとよくいってました。ご飯もお酒も進みます。我が家の初夏から初冬にかけての定番菜です(静岡市 どうせ定位置ベイスターズさん)
秋田の食べ方? しょっぱくないでしょうか。
でも「さや」を取り除くと普通の色の枝豆だったことを思い出しました。枝豆の漬物は東京に出てきてからは見ていません。確かに外観は茶色に変色していて見てくれは悪いので商品化できないのかな? と思っています(アイミのパパさん)
秋田でさやごと煮物になった枝豆が、青森では漬物に。どちらも見たことも食べたこともない。日本は広いのお。
で、最初はほんのり温かく、やがて冷たくなっていく温度変化を楽しみながら食べるのですが、こんな食べ方って少数派でしょうか?(みなみ@神奈川さん)
少数派でしょう。きっとそうよ。
デスクうんうん たぶんそうよ。
殻というのは「さや」のことですか? そうそう、最近はみんなさやから出した状態で売っているので、炭火で焼くなどという風流なことができなくなった。
ところで私はそら豆の皮は食べることにしている。食物繊維の塊だろうし。そら、まめに食べてまっせ。
デスク再び沈黙 …。
居酒屋では「皮まで食べなくてもいいじゃん」と貧乏くさく見られてしまったのですが、食べない人の方が主流派なんでしょうか? 気になります(暑い名古屋の熱いサラリーマンさん)
我が同士よ! そら豆の皮を捨てるなんて豆(ず)に乗るなーって言ってやりましょう。
デスク沈黙しそうになりながら目を見開いて そーだ、僕は皮だけ食べてもいいぞ! ちなみに、エビフライのしっぽも香ばしくてビールのツマミにサイコーです。なぜ、捨てるのか! 不当な差別だ!
私は知らなかったが「にゃんちゃん」からのメールによると、岐阜は枝豆の産地で枝豆まんじゅう、枝豆ようかん、枝豆アイスなどを売っているのだそうである。そのメールに「十六ささげ」のことが出てくる。ネットで検索していただきたい。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
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