「君が1番」には反発 デンマークで学んだ幸せのコツレア共同代表 大本綾氏(上)

デンマークに行く前、前職で4年間、外資系広告代理店に勤務し、テレビCMを作る仕事などをしていましたが、留学する前は、それが本当に自分のやりたいことだったのか、わからなくなっていました。

売り上げも大事だと思いますが、ビジネスをもっと社会的課題の解決につなげられないかというのは自分のなかの好奇心としてありました。ただ、クライアントビジネスの中では難しいことも実感していました。そのときにキャリアチェンジを考えました。仕事を続けていく上では、何をすることが自分にとって一番重要で、幸せなことなのかという根本にまで立ち返って考える時間が必要であり、デンマークはそれをするのに最も適した場所でした。

デンマークでは24時間を3つに区切って考える

デンマーク人の働き方は、とてもバランスが取れていました。彼らは1日24時間を8時間ごとの3つに分けて考えます。8時間働いて、8時間休んで、8時間寝る。結果を出さないと解雇されてしまう厳しさは、ある意味で日本以上ですが、そのためにも休むことと寝ることが大事だという考え方です。社会に必要なイノベーションを起こすには生活を根本から変える必要がある、とも感じました。

よく寝なければ脳が活性化しませんし、家族や友人と過ごす時間がなければ、仕事に必要なモチベーションやインスピレーションもわいてきません。日照時間が短く、気温も低いデンマークでは、必然的に家にいる時間も長くなります。そのためか、彼らはあまり外食をせず、よく自宅に友人や知人を招いて食事をします。仕事以外の関係者と政治や宗教、趣味の話をすることで、企業人、家庭人、市民生活という、それぞれのバランスをうまく取っている気がしました。

国連などの統計で、デンマークは常に幸福度ランキングの上位に位置しています。医療費や教育費が無料で、解雇されてもそれが即座に生活不安につながらないなど社会保障制度の充実も大きく影響しているとは思いますが、個人的に重要だと感じたのは、彼らはいつも自分の感情を大事にしているという点でした。

自分の好きなこと・嫌いなことをよく知っていて、違和感のあることに対しては正直に向き合い、できないことはできない、とはっきり意見を言う。他人と比較して自分はより幸福かではなく、常に自分自身の中にある幸福感を追い求めているところが、デンマーク人にとっての幸福度を高めているような気がしました。

大本綾
レア共同代表。1985年生まれ。2012年8月、デンマークのビジネスデザインスクール「カオスパイロット」に留学。帰国した15年、共同代表の坂本由紀恵氏とともに教育デザイン会社「レア」を設立。企業や行政、教育機関などに向けた研修事業を展開。

(ライター 曲沼 美恵)

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