「君が1番」には反発 デンマークで学んだ幸せのコツレア共同代表 大本綾氏(上)

他人と比較して褒めたら、嫌がられた

彼らは基本的に自分を他人と比較されるのを嫌がります。「君が1番だ!」のような言葉を使って褒めても、デンマーク人はあまり喜んではくれません。私がそれを痛感したのは、クリエイティブリーダーシップをテーマにした授業を受けている時でした。

「最高の自分を目指しなさい」と講師が言ったとたん、多くの手が挙がり、ある学生は「最高という言葉は、勝者と敗者を分けるので問題ではないか」と指摘しました。教室の外でデンマーク人に聞いてみても、反応はほぼ同じ。「ベストという言葉は好きじゃない。十分という言葉が好き。最高にはなりたくない」と言う人もいました。

米国とデンマークでは教育や競争に関する考え方が大きく異なると、大本氏は言う

米国に留学した経験のある私にとって、これはとても意外なことでした。米国人の多くは褒め上手で、「すごいね」と褒めると、どうしてうまくいったのか、喜んで説明してくれます。少しぐらい自信がなくても、自信があるように振る舞っていればチャンスが回ってくるので、「できない」ことも「できる」と主張することが大事。ところが、デンマークではむしろ、「できない」ことは「できない」とはっきり伝えることのほうが重要であり、所属する組織や肩書とは無関係に「あなたはどう思うのか?」「なぜそれがあなたにとって重要なのか?」と聞かれることが多く、必然的に、自分はいったいどんな人間で、本当は何をしたかったのか、を考えさせられました。

自分にとって何が幸福か、根本にまで立ち返って考えた

実は高校生のころ、将来はミュージカルをやりたいなと思っていたんです。高校時代、カナダに留学していたときに演劇の活動をしていたのですが、一つの舞台を全員でやり遂げることに魅力を感じていました。もっと幼いころは絵を描いたり、物語を書いたりするのも好きだったのですが、自分には才能がない、と決めつけて、いつの間にかしなくなっていた。ミュージカルの場合も同じで、進路の話をした際にほかの道を選んだほうがいいと言われることがあり、諦めてしまいました。

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