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なやみのとびら、著名人が解決!

子が独立、妻が掃除せずごみ屋敷です 作家、石田衣良さん

NIKKEIプラス1

2017/8/24

作家。東京都生まれ。2003年「4TEENフォーティーン」で直木賞。ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」(http://ishidaira.com/booktalk/)を毎月第2・4金曜に配信中。

 

 子どもたちが独立後、妻が掃除を全くしなくなりました。妻は「子育ての責任は果たした」とジム通いや買い物三昧。私は働いており時間がないうえ、散らばっているのは妻のものばかり。家がごみ屋敷化しています。(東京都・60代・男性)

 年をとると、男性よりも女性のほうが断然元気に見えるのはなぜなのだろう。これは長年、ぼくの頭を悩ませる難問でありました。今回の相談には、その難問への回答のヒントがあるように思えます。

 あなたは60代。たぶん第二の職場で毎日きまじめにお勤めしている。けれど、子育てを終えた奥さんはお役ごめんとばかりに遊び暮らすばかり。家もゴミ屋敷直前。日本経済新聞を読むような謹厳実直な男性諸氏は、みなさぞ憤慨されていることでしょう。なんという悪妻だ!

 でもね、この先の人生を仕事のためでなく、自分のために楽しく生きるとしたら、奥さんの選択のほうが正解ではありませんか。あなたはだいぶ無理をして、かつてより減額された給料でも文句をいわずにがんばっている。その重荷をすこし軽くしてみませんか。仕事をしながら、好きな趣味に打ちこみ、遊びにでかけてみる。なんなら、奥さんの趣味につきあってみるのもいい。

 この世代では男女間にかなりの文化格差があります。女性は多彩な現代の映画・演劇・音楽・文学にふれているのに、男性のほうは仕事さえしていればとりあえず格好がつくので、学生時代以来サボっている人がほとんど。これでは会話もつうじないし、同じレベルで趣味を楽しむこともできない。この先の人生は長いし、ますます自由になる時間は伸びていきます。人類が創りだした最高の「暇潰し」は文化なので、ぜひこれから奥さんを師匠に勉強を再開してください。目をみはるような素晴らしい作品がたくさんありますよ。

 さて、奥さんの行動で実害があるのはゴミ屋敷問題です。ぼくがあなたなら、つかわなくなった子ども部屋を奥さん専用に割りあてます。そこだけはどんなゴミクローゼットにしてもかまわない。ふたりの共有エリアであるリビング・寝室・玄関などにあふれた奥さんの物は、通販でハンガーラックでも買って、全部そこに押しこんでしまいましょう。リビングがすっきりしていれば、とりあえず生活に嫌気がさすこともないはずです。

 身近に楽しげな人を見て苦々しい思いを抱くのは、あなたの人生がつまらないからです。奥さんのようにレッツ・エンジョイ!

 あなたの悩みをサイトにお寄せください。サイト「なやみのとびら」(https://www2.entryform.jp/tobira/)から投稿できます。

[NIKKEIプラス1 2017年8月19日付]

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