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ブランドバッグが選び放題 月6800円で女子心突く

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使わないモノや設備などを他人とシェアするシェアリングビジネス。日本でも、クルマを貸し借りするカーシェアリング、空き部屋を旅行者などの宿泊施設として提供する民泊といったサービスが勢いを増しつつある。その流れが、ファッションにもやってきた。なかでも面白い取り組みをしているのが、ブランドバッグのシェアサービス「ラクサス」だ。

現在、ラクサスが貸し出しているのは、52ブランド・約1万8000個のバッグ。バッグ1個あたりの平均価格は30万円で、この中から好きなバッグを月額6800円(税別)で使い放題というシステムだ。送料は無料。ただし、1度に借りられるバッグは1個だけで、1カ月に2度以上バッグを借りる場合は交換するごとに荷造手数料1000円(税別)がかかる。

運営するのは広島に本社を置くラクサス・テクノロジーズだ。2015年2月にサービスを開始し、2017年7月の時点でアプリのダウンロード数は30万を突破。そのうち実際にバッグを借りている会員は1万2000人だが、サービス開始から現在まで会員数も業績も右肩上がりを維持している。

特徴的なのは「継続率95%」という数字だ。ここでいう継続率とは、半年間バッグを借りた人のうち、95%が継続してサービスを利用していることを表している。会員の拡大を受けて、2017年1月には、ユーザーからバッグを預かり、別のユーザーに貸し出す「ラクサスエックス」という個人間シェアサービスも開始した。

これまでの考え方でいえば、所有欲を満たしてこそ意味がありそうな気がするブランドバッグ。それを「借りる」ことで満足させるサービスの裏には、どんな工夫があるのだろう。ラクサス・テクノロジーズのマーケティング担当で副社長の馬場添佳氏に話を聞いた。

携帯電話料金より安い、分かりやすい料金体系

馬場添氏は、ラクサスの月額6800円という料金について、「月々の携帯電話の料金より安く、を目安にした」と言う。従来のレンタルサービスが1回ごとのレンタル料だったのに対し、月額料金を採用したのは、料金体系をシンプルにするためだ。「3日で4000円、延滞料がいくら、送料がいくらとなると、トータルの金額が分かりにくい」(馬場添氏)

また、従来のレンタルサービスでは、結婚式や子供の入学式など特別なときだけ使う用途が中心なのに対し、ラクサスでは、自分のクローゼット代わりに、日常的に使ってほしいという思いもあったという。このため、ラクサスのバッグには返却期限が設けられていない。人気のバッグを特定の会員が借り続け、他の会員が困る事態は起きないのかと尋ねると、「プッシュ通知で別のバッグへの交換を促している。それに、とっかえひっかえ借りたほうがお得に感じるので、1つのバッグを長期間借りるユーザーは少ない」(馬場添氏)。会員の平均交換タイミングは1.5カ月だそうだ。

そもそもラクサスの場合、「いろいろなバッグを使ってみたい」という人が集まっている可能性が高い。加えてそんな気持ちを加速させるための工夫もある。

その一つが、バッグの見せ方だ。バッグの閲覧や予約などはアプリを通じて行うのだが、特筆すべきは、商品ページにバッグ単体の写真だけでなく、バッグを使ったコーディネート写真も掲載されている点だ。これなら、どんな服に合うのかが分かる上、手持ちの服とのコーディネートも浮かんでくる。

ファッションにおいて、「このバッグを使っている自分」を想像できるのは重要だ。アプリをダウンロードしたものの借りるのはためらっていた人が、コーディネート写真を見てがぜん興味を持つケースは多いだろう。実際、コーディネート写真を載せたことで、「コンバージョン率(商品ページへのアクセス数のうち実際にバッグを予約した人の割合)が従来サービスの2.7倍になった」と馬場添氏は話す。

AIを使ってバッグとの出会いを作る

数あるバッグの中から、会員が好みのバッグに出合いやすくするための工夫も随所に施されている。その1つがAI(人工知能)による提案だ。会員全体の貸し出し実績や個別の会員の貸し出し履歴を分析して、好まれそうなバッグを割り出す。

AIを活用した提案方法は2種類ある。1つ目は心理テスト風のバッグ診断。「朝日より夕日が好き」「風景の写真を撮るのが好き」などの質問に答えると、お薦めのバッグ一覧が表示される。回答の結果と、そうした回答を選んだ会員が好むバッグの傾向をマッチングして、バッグを提案するわけだ。筆者もやってみたところ、確かに表示されたバッグに苦手なデザインの物はなかった。ちなみに、夕日より朝日が好きな人にはシャネル好きが多いというのは、なんとなく分かる気がする。

2つ目の提案方法は、各会員が借りたバッグやお気に入りに登録したバッグ、閲覧履歴などからブランドの嗜好性を判断する。このブランドを好きな人は、このブランドも好きだろうと予測するわけだ。馬場添氏によると、「ミュウミュウとバレンシアガが好きな人にはプラダをリコメンドすると、もう1カ月借りてもらえる。グッチばかり借りる人にはシャネルが表示されないようにし、ノイズを減らすことでユーザーのストレスを軽減している」とのこと。

この施策には、ファッションに興味が強い筆者も、「正解!」とうなずくほかない。好みのバッグとなかなか出合えないと、「もうやめようかな」と意欲が減退するし、ときめく対象に頻繁に出合えれば続けたくなる。婚活サイトなどにも通ずる心理であり、真理だと思う。

興味深いのは、こうしたAIを活用したシステム構築も、バッグを使ったコーディネートの考案も、ラクサスでは全て社内で手がけていること。「外部に出すと時間もお金もかかってしまう。内部で行うことに意義を感じている」(馬場添氏)

所有するバッグもシェアする時代に

ラクサスが画期的な理由がもうひとつある。前述のように、2017年1月から会員のバッグを預かって別の会員に貸す個人間(CtoC)サービス「ラクサスエックス」を開始したのだ。実は「もともとCtoCの構想はあったが、まずはお客様に来ていただかないことには、ということで、私たち企業が各会員にバッグを貸すBtoCからスタートした経緯がある」と馬場添氏は説明する。また、ラクサスの認知が上がってくるにつれ、貸し出すバッグの在庫が足りなくなってきたことも、会員同士のバッグシェアを始める後押しとなった。

馬場添氏によると、日本には、使用していないブランドバッグが大量に眠っているという。ラクサス・テクノロジーズはこうしたバッグを「埋蔵バッグ」と呼ぶ。2017年5月、同社が20~50代の女性を対象に「日本に眠るバッグに関する意識調査」を実施したところ、埋蔵バッグの総額は推定3兆7956億円にも上ることが明らかになった。特に男性からプレゼントされたバッグのうち4割は使用されていないという。一方で、使わないバッグがあっても、捨てるに捨てられない女性が多かった。

また、1年以内にブランドバッグを購入した人は全体のわずか1割強しかいないことも分かった。女性はブランドバッグを買わなくなっているのだ。だからといって興味がないわけではないから、シェアリングが支持される。

実際、「ラクサスエックス」には、サービス開始後3カ月で9000個ものバッグが届いたという。バッグを預けるためには、アプリから無料の宅配キットを申し込み、届いた箱にバッグを入れて送るだけでOKという手軽さも功を奏したのだろう。

会員から届いたバッグの中にはもちろん、状態が悪いなどの理由で受け入れ不可となるバッグもある。また、なかなか借り手がつかないこともあるだろう。しかし、貸出用として在庫入りしたバッグは、ラクサス・テクノロジーズの専門技術を持ったスタッフによってきれいにメンテナンスされ、適温で保管されるため、預けるだけでもメリットがある。

「借り手がついた場合は、1日につき66円、1カ月で2000円弱が預けた人の収入となる。ブランドバッグが本物かどうか見分けるための研修も社内で実施しており、偽物は排除している」(馬場添氏)

多くの女性の心理を突いたことが人気の秘訣?

筆者は冒頭で、「ブランドバッグは所有欲を満たしてこそ意味がありそうな気がする」と記した。実際これまではそうだったと思う。ではなぜ今ラクサスが人気なのか。それを解明していると感じたのが、前述のバッグに関する意識調査だ。「ブランドバッグをどこに行くときに持っていきたいか」という質問で最も多かった回答は「女子会・ママ会」で、51%に上る。筆者はこの結果に膝を打った。

女性は女同士の集まりなどで相手のファッションを見ており、自分も見られていることを知っている。そうした場で注目されそうな遊び心のあるデザインのブランドバッグは、使うシーンが限られるため、何十万円もの出費をするのはハードルが高い。

その点シェアリングなら、月額6800円で1カ月借り、次の月にはまた別のバッグを借りられる。女同士で集まるたびに異なるバッグを持っていき、「何それ、かわいい」の声や視線に囲まれるのだ。まるで女子会・ママ会のためにつくられたサービス! 女性である筆者には、需要と供給が絶妙にマッチしていると実感できる。

多くの男性はこうした女性の心理を「どうでもいいな……」と感じることだろう。女性がおしゃれに気をつかうのが合コンやデートではなく女子会やママ会だというのは、そういうことだ。男性はどうせ大して気にしてはくれない。とはいえ、ブランドバッグをおねだりされるリスクを回避でき、月額6800円で女性が機嫌よく過ごせるのなら、男性陣にも朗報ではなかろうか。

個人的に気になるのは、「毎回違うバッグ持ってるよね」と言われたとき、「実はシェアリングなの」と明かす女性と、笑顔で謎めく女性とでは、どちらが多いのだろう?ということ。持ち物をほめられると、「実は安いんだよ!」と聞かれてもいないのにお得さをアピールしてしまう筆者は、その場でラクサスのプレゼンをするように種明かしをしてしまうだろう。「いいよね!」という気持ちをシェアしたい。それも女の強い欲求なのだ。

(ライター ヨダエリ)

[日経トレンディネット 2017年7月26日付の記事を再構成]

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